第115話 ざわつく掲示板
◆【ツェーザルロ、魔道サロン管理者よりのお知らせ】◆
[当面の間、他国の方は国の方針により、こちらのサロンに接続できません。]
魔道サロンのトップにそんな知らせが書いてあった。
確かに戦争になるならそうだよな。と、俺は思った。
◆ ◆ ◆ 掲示板 ◆ ◆ ◆
名無しの貴族〈管理人さんキタ━━━━(゚∀゚)━━━━!!〉
名無しの貴族〈いよいよ戦争色が強くなってきました〉
名無しの貴族〈となれば、我が家でも男子を誰か一人は戦争に出さないといけない件〉
名無しの貴族〈四男の俺氏、終了のお知らせ〉
名無しの貴族〈終わるな! 生きろ! 勝って生きるんだ!〉
名無しの貴族〈開戦の知らせはまだか? 戦利品くらいしか楽しみはないが〉
名無しの貴族〈俺の攻撃魔法が火をふくぜ〉
名無しの令嬢〈い、家に男子がいない場合は?〉
名無しの貴族〈普通に考えてお父君だろ、既に死んでるのか?〉
名無しの令嬢〈イヤーーッ!!〉
名無しの令嬢〈志願すれば女性でも父の代わりに出れます。私は父が病弱なので代わりに出陣します〉
名無しの貴族〈やけに男気のある令嬢がいるな、惚れそう〉
名無しの貴族〈嫌とか非国民みたいな事を書くなよ、処されたらどうする〉
名無しの貴族〈令嬢はお父様を大切に思われてるだけでしょうから、見逃してさしあげて……〉
名無しの貴族〈ワクワクしてきた! 手柄をあげるぜ!〉
名無しの貴族〈戦闘狂がいる……!!〉
名無しの貴族〈手柄を立てれば領地を貰える可能性〉
名無しの貴族〈敵国の国王のケツアナを掘りたいやつおる?〉
名無しの貴族〈王女ならともかく王て……〉
名無しの貴族〈王の方がレアではあるな〉
名無しの貴族〈国王を掘って歴史に名を残すつもりか?〉
名無しの貴族〈そんな名はわざわざ本に刻まれないだろ〉
名無しの貴族〈だめだ、コイツラ……〉
名無しの貴族〈正気に戻れ〉
名無しの貴族〈そもそも男相手に◯つのか?〉
名無しの令嬢〈婦女子に乱暴はしないでください(ただし戦闘員は除く)〉
名無しの貴族〈貴族の義務だし、殺りますか……。やれやれと言いつつアップをはじめました〉
名無しの令嬢〈やれやれ系男子、来たわね……〉
名無しの令嬢〈さりげなく戦況報告ができる方いたらお願いいたします……家族が心配なので〉
名無しの貴族〈おいおい、魔道具が奪われたら情報がバレる〉
名無しの貴族〈端末にちゃんと本人認証入れてるか?〉
名無しの貴族〈家族と端末共有してるからしてない〉
名無しの貴族〈早く本人認証しろ!〉
◆ ◆ ◆
えらいことになった……。
俺は聖女達の合流を王城内のサロンで待ちながら落ち着かない気持ちで魔道サロンを覗いたら、余計ソワソワしてきた。
本当に俺の為に争わないで欲しいけど、普通に土地とか欲しいだけの可能性もあるよなぁ。
「ネオ、落ち込んでる? なるようにしかならないよ」
ユージーンは達観してるな……。
いや、でも励ましてくれてるんだよな。
「せめて皆と一緒に戦えたら……」
「君の力は攻撃用ではないから……」
「確かになー、洞窟内で竹槍でもシコシコ作っておくか……」
「ネオやネオの大切な女性達は僕が守るから」
そういやユージーンはめちゃくちゃ強いのに前線には出ずに俺の護衛にあたるのか。
━━ややして、聖女や俺の夫人達が来た。
「ネオ様は私がお守りいたしますわ!」
「「私も!」」
ニコレット、レベッカ、エマが握り拳でそんな宣言をした。
「さ、三人ともありがとう」
守られる側かー、俺はヒロインかよ。
「アルテも守ってあげる!」
「ありがとなー、でもアルテちゃんは子供だから俺と隠れてような」
「えーーっ」
そうして、俺達はドラゴンの巣穴であった場所に向かう事となった……。
のだが、その前に王城の侍女が衣装を手渡して来た。
「これは?」
「変装用の衣装です」
「魔法使いっぽいフード付きローブと黒髪ロングのウィッグはいいとして、これは女用の服では?」
俺は女装セットを渡されたのである!
「伯爵様は念の為に女装してください」
「お、女にしては背が高いし……」
違和感があるのでは? ほら、周りを見たら夫人候補の三人が笑いをこらえてる顔をしてるし!
「大丈夫です、長身の女性もおります」
「あの、私は……」
聖女のリーディアはややぼろい服を手渡されている。
「聖女様はこのウィッグで茶髪にして、羊飼いや小間使いの少年風に……」
「まあ、羊飼い!! 憧れの職業です!」
「羊飼いが憧れなんだ……知らなかった」
━━意外だ、お嫁さんとかじゃないんだな。
「羊、かわいいですし、自然の中で伸びやかな感じがしますでしょう?」
「あ、そうか、ずっと神殿に閉じ込めるられていたから……」
なるほどな。
しかし、突然の変装イベントがきてしまった……。
令嬢達も何やら衣装を渡されているし。
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