第113話 不穏な噂
「は? 離宮でございますか?」
陛下の言葉に思わず唖然とする俺。
「ああ、金貨の他にワイバーン付き竜騎士一人とソチラの騎士が使える調教済みワイバーンといつでも泊まれる離宮を治療の礼とする」
息子でも寵姫でもないのに王城の敷地内の離宮!!
まあ、王様が治療受けるにも頻繁に近くに来て欲しいのは分かるけどな!
ワイバーンはユージーンに乗りこなせるようにあげればいいかな、俺は後ろに乗せてもらって……竜舎も作るべきだな。2頭分。
「婚約式も離宮を使ってもいいぞ」
「は、ありがたき幸せ」
「ああ、竜騎士はこれから一人選抜して送ることにする」
「はい、よろしくお願いします」
できれば性格のいい人でお願いしたい。
「うむ」
「それと、チョコケーキなどは糖分が多いので、できれば寝る前はあまり沢山は食べずに、日中に食べてダンスなどで体を動かしてください。太りやすいので」
「!!」
王妃様がハッとした顔になった。
「なるほど、分かった」
「では、私はこれにて御前を失礼いたします」
「ご苦労でした」
◆ ◆ ◆
王の治療が終わったので廊下に出てユージーンと合流して、城から出る俺。
「ユージーン! 調教済みワイバーンを貰えるらしいから、竜騎士になれるぞ!」
「僕が貰っていいんですか?」
「当たり前だろ、あと一人竜騎士をつけてくれるらしいから、先輩に色々聞くといい」
「はい! 移動が早くなりますね!」
「ああ」
城から出た後はタウンハウスのニコレットの屋敷に向かうことにした。
本当は婚約者の彼女と王城に向かうつもりで声をかけてたからな。
もはや深夜だけど……。
そうして、王都のオラール家のタウンハウスに到着した。
執事に通してもらい屋敷にあがった。
そしてニコレットはまだ起きて廊下に出て来ていた。
「夜分にすまない、待っていたのか?」
「ええ、おかえりなさい、何がありましたの?」
ニコレットは心配そうな声で問うてくる。
「室内で話すよ」
国王陛下のお体の事なので、サロンに行って人払いをし、内緒話という感じになった。
「……まあ、そんな事が……」
「ああ、至急と言われて呼べずにすまなかった」
「それは仕方ありませんわね。では、ネオ様はお疲れでしょうから、もうおやすみください」
「ありがとう、部屋は護衛のユージーンと同じでいいから」
「はい、ベッドが二つある部屋にどうぞ」
「あ、言い忘れてた! 治療の対価で離宮をいただけるから、そこで婚約式をやってもいいそうだ」
「まあ! 離宮を!」
そして説明を終えてユージーンと同じ部屋で寝ることにした。
二人にならないと敬語が取れないし、ユージーンからタメ語を聞かないと、少し寂しいんだよな。
「ネオ、今日はお疲れ様」
「ユージーンもお疲れ様」
そして寝る前に、俺は客用ベッドの上で日課の魔道サロンを開いた。
そこで俺はとんでもない情報を目にした。
◆◆◆ 魔道サロン ◆◆◆
名無しの貴族【問】〈隣国が武器と食料を、やたら集めてると旅芸人に聞いたんですが、何故だと思いますか?〉
名無しの貴族〈戦争?〉
名無しの貴族〈戦争以外になんかあるか?〉
名無しの令嬢〈領地戦ですか? 麗しの令嬢をめぐって……とか〉
名無しの貴族〈それは恋愛小説の読みすぎでは〉
名無しの貴族〈きな臭いな〉
名無しの貴族〈まさか最近来た聖女を奪い取ろうと我が国に?〉
名無しの貴族〈むしろ最近現れたらしい唯一の魔力嵐の治癒師とか〉
名無しの貴族〈むしろ……両方とか〉
名無しの貴族〈ざわ…ざわ……〉
◆◆◆
……まさかの、私の為に争わないで状態の事が?
そんなバカな。
いや、むしろ聖女狙いでは?
──でも魔力嵐は聖女でも治療出来ない……。
待ってくれよ、春には婚約式をやるつもりなのに!
なにかの間違いであって欲しい!!
ザカロスとツェーザルロ相手の戦争ではなくて、手強い魔物退治用の武器かもしれないし!
食べ物は……有事の……万が一の飢饉に備えるためかもしれないじゃないか!?
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