第103話 三人とデートと掲示板
話は少し遡る。
星祭りと立太子のお祭りで急にファビオラが出てきて驚いたが、星祭りのクライマックスでは、渡そうと計画していたプレゼントのキラキラ付きショールを未来の夫人、三人に渡した。
「星のようにキラキラしていて、とても綺麗なショールですね」
とは、エマの言葉。
「ふふ、星の輝きを纏っているようですわ」
とは、レベッカの言葉。
「星祭りにふさわしいショールですわね」
とは、ニコレットの言葉。
──うんうん。
「皆、綺麗だな。よし、せっかくだから撮影会するか、そこのバルコニーででも」
俺は例のスマホのような魔道具をポケットから取り出した。
「「「分かりましたわ!」」」
そんな流れで三人をモデルにバルコニーで撮影大会をした。
輝く星空を背景に、三人とも本当に綺麗だったし、ほぼお揃いのショールを皆が気に入ってくれたようでよかった。
あまり差をつけるわけにいかないから、石などの素材がほぼ同じでも、布のグラデーションの色具合とか、それぞれ石の配置の仕方が違う。
◆◆◆
ファビオラの侯爵家とツェーザルロ王家の交渉中、まだ王城の部屋にお泊まりしていたので、ツェーザルロの貴族年鑑に載せる俺の肖像画を描かせて欲しいと文官に言われたのである。
画家の前でしばらく動かずにじっとしてろ的な事を言われたのが辛すぎるので、例の魔道具端末で写真を撮って見せた。
「すまないが、この端末を貸すのでこれを見て描いてくれるか?」
「おお、なんと便利なものが……」
こんな便利なスマホ的な魔道具を作れるなら写真とプリントアウト技術でも作って載せればいいのにとは、思ったが、画家の仕事が減るので言わない方がいいのかな。
そして子爵ではなく、伯爵として載ることになりそうだ。
「端末を貸して肖像画を描いて貰う間に王都の美術商にでも行こうか、インテリアを選ぼう」
「「「はい!」」」
城に留め置かれて遠くには行かないようにと言われているが、城下町くらいは行かせてもらえるから、俺は護衛と女性三人も引き連れて美術商へ向かった。
「ネオ様、壁に飾る絵はどのようなものがお好みですか?」
ニコレットが俺の好みを聞いて来た。
「果物とかの静物画と美しい風景とかかな……お、このライチの絵は好みだ」
「この花畑の絵はいかがです?」
「お、いいね」
「この藤の花の絵はいかがです?」
美術商が売り込みに声をかけてきた。
「綺麗だと思うが運気を上げる狙いで西に黄色い絵と南北に入り江と少女もいいかも」
「あちらに入り江と黄色い花が一緒になっている絵がございますよ!」
「ほう、それはいいな」
俺は美術商の案内で色んな品を見ていった。
婚約式はやはり社交の季節の春を予定しているから、それまでに色々買い集めておこうと思う。
そして三人を連れた買い物デートを終わらせ、寝る前には肖像画の画家から端末は返却してもらったので日課の掲示板のチェックをした。
◆◆◆ 魔導サロン掲示板 ◆◆◆
★名無しの貴族【星祭り関連ネタで語ろう】
★名無しの貴族〈とある貴族が何故か急に聖女を保護していて、いきなり子爵から伯爵に爵位上がっていた件〉
名無しの貴族〈それで子爵が伯爵になれるなら俺も聖女を保護したいのですが、聖女はどこに行けば拾えますか?〉
★名無しの貴族〈知るか! 知ってたらそんなん俺だって拾いたいわ!〉
名無しの貴族〈それより銀髪の男が痩せぎすの他国の女と修羅場ってなかったか?〉
名無しの貴族〈痩せぎす呼ばわりは酷いけど、確かに今にも死にそうではあった。あの状態でなんで他国のパーティーなんか来てるのか〉
名無しの貴族〈昔の男を取り戻しに修羅場をしに来たんだろ〉
名無しの令嬢〈あれは見ものでしたわね、赤毛令嬢のキリッとした姿に痺れました!〉
名無しの貴族〈あの他国令嬢ドレスや宝石はいいもの身につけてるのに、見るも無残な姿だった〉
名無しの貴族〈だが男は既に三人もの女を!〉
★名無しの貴族〈しかも美女を! うらやましい!〉
名無しの令嬢〈ところで、あの修羅場現場でマギアストームとかいう単語が聞こえませんでした?〉
名無しの貴族〈まさか、あの銀髪の男……〉
名無しの令嬢〈あの令嬢があんな状態で無理やり他国のパーティーに来ていた理由はもしや……〉
★名無しの貴族〈謎は全て解けた!〉
名無しの貴族〈しっ、王弟殿下の庇護下にあるからあまり詮索するな〉
名無しの令嬢〈病気の話は怖いから止めてください。それより星祭りで見た素敵なドレスの話をしませんか?〉
名無しの貴族〈ドレスやおしゃれの話なら別部屋を立てた方がいい〉
名無しの令嬢〈分かりました〉
★名無しの貴族〈でもあの病の稀有な治療師なら、ぜひともお友達になっておきたい!〉
名無しの貴族〈絶対に嫌われてはいけない貴族現れたぞ〉
名無しの令嬢〈聖女よりも優先的に保護すべきなのでは?〉
◆◆◆
うーん、やはり噂になってしまったか。
しかし、王弟殿下の存在がここでも盾になってくれてるようだった。
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