第88話 日課の掲示板閲覧
無事にトーナメントを勝ち抜き、ユージーンは優勝したので、見習い騎士をスキップ卒業し、騎士になれる。
ユージーンが思いの外早く戻ってくれることになって嬉しい。
ただ、まだ寮を出る手続きや正式な騎士になった免状やプレート発行手続きなどがある。
それが終わるまで我々はニコレット家のタウンハウスに泊まることにし、手続きが終わったらユージーンと一緒に俺達の領地に帰る予定だ。
そしてせっかくニコレットと二人で過ごすので、夜は王都のレストランに行ってたりしてデートをした。
あ、もちろん、少し離れた所から護衛騎士達は見守っているんだけど。
ちなみにニコレットがいるから、黒髪の侍女、マリアン嬢とソル卿もレストランでは近くのテーブルでさりげなく食事をしていた。
俺達と同じようにステーキを食べている。
多分水牛だけど牛肉が食えて嬉しい。
ステーキを堪能しつつも、たまにチラチラとあちらのテーブルを俺が気にしているとニコレットが、
「ネオ様ったら、せっかくのデートなのですから、あちらではなく、私の方に集中してくださいませ」
「おっと、これは失礼」
少し怒った顔でむくれて見せた。
あざとい!! あざとかわいい!!
「明日の朝は私、婚約式の招待状を書くので、お昼は紅葉を見ながらうちの庭園をお散歩をしましょうね」
王都のタウンハウスと言っても流石は侯爵家、庭もなかなか広いのである。
「ああ、いいですね」
明日の朝は午前中はニコレットも春にやる婚約式の招待状を書くのに忙しいみたいだから、お散歩は昼過ぎだ。
それからユージーンを迎えて、神殿のゲートから領地へ向かう。
なのでいよいよ持参金の領地視察もしようかなと思う。
──そして、俺の寝る前の日課の掲示板の閲覧……
◆◆◆ 魔導サロン掲示板 ◆◆◆
【見習い騎士の卒業試験トーナメント戦について
】
★名無しの貴族「試合の勝者を見たか? なんとオリハルコンの剣をもらってたぞ!」
名無しの貴族「あの銀髪のぽっと出◯◯は何者なんだよ!?」
名無しの貴族「なんでオリハルコンの剣とか持ってたんだ!?」
名無しの貴族「それは知らないが、妻も三人娶るらしいぞ! 観覧席で隣にいてバラを貰ったのが正妻っていうか、第一夫人になる令嬢のはずだ!」
名無しの令嬢「試合の勝者、顔も良かったでしょう! 皆様ったらオリハルコンにばかり気を取られて!」
名無しの貴族「いや、君も顔より剣技に注目しなよ、騎士だよ?」
名無しの令嬢「優勝者のあの方は婚約者はもうおられるのかしら?」
名無しの貴族「婚約者の有無は知らないけど、銀髪の貴族の領地に行くんだろ、田舎で遠いと思う」
名無しの令嬢「第一王子の立太子のお祝い兼星祭りでワンチャン出会える可能性はありますわ!」
名無しの令嬢「真冬の社交は星祭りのみですから、そこは、逃せませんわ!」
* * *
ほほー、あのトーナメントでユージーンに目をつけた令嬢がいるようだな。
ユージーンに会ったら教えてやろう。
* * *
★名無しの貴族【生きる気力がわかないのだが、何か面白い話はないか?】
名無しの貴族「おいおい、お前な、貧民と一度生活を入れ替えてみろ、どれだけ自分が恵まれているかわかるから」
名無しの貴族「お前は成り上がりの新興貴族か? なんでそんな事を知っている」
名無しの貴族「そんなの一度でも救貧院にボランティアにでも行って見れば分かるだろ」
名無しの貴族「は? 慈善事業か? なんだそれ美味いのか? 人気取りもしなければならない家門は大変だな」
名無しの令嬢「そんな言い方はないと思いますわ! 性格の曲がった方ね!」
★名無しの貴族「おいおい、俺の部屋で喧嘩をしないでくれないか?」
名無しの貴族「手負いのドラゴンが飛んでいくのを見たぞ」
★名無しの貴族「? それは面白い話か?」
名無しの貴族「ドラゴンネタだぞ、珍しい話ではないか?」
★名無しの貴族「確かに……珍しい話ではあるような? ちなみにどのあたりで目撃したんだ?」
名無しの貴族「えーと、確か……」
★名無しの貴族「焦らしプレイは止めてくれないか?」
名無しの貴族「すまん、名前をど忘れして、確か
輸出入の事業で有名ななんたらという……」
★名無しの貴族「なんたらでは分からん」
名無しの令嬢「輸出入で有名……もしやフレ◯テ◯伯爵家の方向?……」
名無しの貴族「あ! そこだ!」
★名無しの貴族「ほう?」
◆◆◆
───なんだって?
最近もニコレットの領地にドラゴンが来て、冒険者が返り討ちにあったから騎士団を差し向けたら手傷を負わせて撃退は出来たが、どこぞへ飛び去ったとは聞いた……が、まさか?
今度はフレーテラ伯爵家、レベッカの実家の領地にドラゴンが!?
俺はベッドから飛び起きた。
手負いのドラゴンってかなりやばいのでは!?
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