第41話 宴会と脱穀と報告

 さて、獣人の村で海の幸の宴会だ。

 俺達も宴に混ぜて貰えた。


「あの、食事風景を撮影してもいいですか?」

「撮影とはなんだ?」

「この、魔導具で思い出を記録できるというか」


 俺は現物を実際に見せて説明した。


「他人に見せないなら……」

「わかりました!」



 ちよっとだけ撮影もさせて貰えた。


 ただ、掲示板には上げない約束で。

 俺だけがたまに見るくらいなら許して貰えた。

 村の皆の安全のためだよな、仕方ない。



 そして料理は俺も海老と鯛入りの味噌汁を分けてもらったし、エイダさんからは川魚を貰って、それを焼いて醤油をかけて食べることができて嬉しかった。



「へー、美味いもんですね、この黒いソースをかけると」

「でしょう!」

「この茶色いスープもとても美味しいわ」 


 マーヤさんが言ってるのは味噌汁の事である。


「鯛と海老からいい出汁が出てますからねー、美味い! 味噌汁最高!」



 満足、満足!



 さて、腹ごしらえが済んだら脱穀作業だ。

 そのへんにあるもので代用する。


 稲を横にして、穂の根元にちゃわんのような形の器を下向きにかぶせる。

 そこから、穂の先端に向けて器を押しつけながら移動させていき、もみを外す。


 次はもみすりだ。軟式野球ボールがあればよかったが、そんなものは無い。

 瓶に入れてすりこぎ棒で米を割らないように頑張る。

 最後は精米。

 もみすりは手間がかかった。ユージーンが手伝ってくれてるが、大変だ。


 精米も時間がかかる。



 すりこぎ棒が丁度入る程度の口の大きさのビンの中に、もみすりが終わった玄米を入れてから、後は、すりこぎ棒で上下につく。

 この作業をひたすら時間をかけて行う。


 流石の俺もこの地味な作業には心が折れかける。

 見かねたマーヤさんが声をかけてくれた。



「私が魔法でなんとかしましょうか」

「マジですか!? この作業やってくと、だんだん糠が取れて米が白くなるんですが、ある程度白くなったら終わりでいいんです!」


「わかりましたわ」

「よかったね、ネオ」

「ほんとにな! マーヤさんが神!」


 マーヤさんはマジで神ってる。

 なんと同じ動きをしてくれるミニゴーレムを土魔法で作り上げた! しかもそれを三体!

 エクセレント!


 そのうちにかくはん棒が自動で回転する構造の精米機を頭のいい人に作ってもらいたい。

 とりあえず簡単な設計図だけ描いておいて誰かに依頼しよう。


 俺は紙とペンを魔法の布から取り出し、設計図となにがどうなると糠と分離するという原理メモも添えて書いておいた。


「ユージーン、俺、疲れたので少し仮眠するよ」

「いいよ、分かった、夕飯の時間には起こすから」

「ありがとう」


 * * *


 俺がお米関連の作業で疲れてしばらくお昼寝をしたら、子猫が俺の腹の上で寝てた。


 小柄な幼女のアルテちゃんが何故か俺の上に乗って寝てるのだ。


 猫は確かに人間の上に乗ってくることがあるから、その行動はなんとなく納得するが、俺のシャツを咥えてしゃぶってるのは何でだ?

 ミルクの匂いがするわけでもないだろうに。

 しかし、めちゃくちゃかわいいな!

 赤ちゃんみたいで。


 そういやかわいいけど獣耳っ娘達の写真は掲示板で報告を待ってる皆に見せられない。

 悪い人間が誘拐しに来るといけないから。

 申し訳ないが仕方ない。



 ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆


【俺が調味料を探しに大森林の村に行く実況スレ】


 *

 *

 *


 名無しのスレ主

〈報告です。護衛が夜中にコウモリの魔物の襲撃で多少怪我をしました。現在は治療を受け、完治しています。そしてついに無事に獣人の森にたどり着きました!〉


 名無しの貴族〈おおーーっ!〉

 名無しの貴族〈思いの他、早かったな〉

 名無しの貴族〈え? 誰も死んでない?〉

 名無しの貴族〈めちゃくちゃ運が良かったな〉

 名無しの令嬢〈まあ! おめでとうございます!〉


 名無しのスレ主〈ただ、写真撮影は許されなかった。獣耳っ娘の写真を待ってくれてた方、申し訳ありません。恨むなら一部の悪い人間を恨んでください〉


 名無しの貴族 

〈悲報、獣耳っ娘の写真無し!〉

 名無しの貴族

〈一部の悪い人間をしばき倒す〉


 名無しのスレ主

〈村の中で少し仕事をして、そのお礼にと、探してた調味料と米を手に入れることができました!(でも金貨や食材も念の為に渡しました)〉


 名無しの令嬢〈おめでとうございます!〉

 名無しの令嬢〈おめでとうございます! ではお帰りはもうすぐですね?〉

 名無しの令嬢〈おめでとうございます! 主様がご無事でなによりでした!〉


 名無しのスレ主

〈数日後に新米を収穫するのでそのあとにスクロールでぴょーんと帰ります!〉

 名無しの貴族〈スクロールなら帰りは心配ないな〉

 名無しの貴族〈このスレもしかして終わり?〉

 名無しの令嬢〈お帰りをお待ちしています!〉

 名無しの令嬢〈わたくしも!〉

 名無しの令嬢〈わたくしもですわ! ご無事でお帰りを!〉


 名無しのスレ主〈皆様、ありがとうございました! 帰宅して醤油と味噌と米の料理写真をだしたらこのスレを終わりますね!〉

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