第21話 そしてカレーを食べる
ひとまずユージーンに俺の真実を告げるのは食後にしよう。
気が散って食事どころではなくなると申し訳ない。
そして食事の時間には皆仲良くリビングで。
とはいえ騎士の皆様まで入れるとリビングがだいぶ狭くなるので、レベッカ嬢の護衛騎士の方はカレーをウッドテラスにて食べてもらう。すみません。
それとロブスターは、騎士の分まではなかった。
◆ ◆ ◆
「このロブスター、とても美味しいですわ!」
「身はプリプリしていて、このとろけたチーズもなんとも素晴らしい」
「本当にこれ美味しいね」
今回は特別にユージーンも同席させてもらっている。
仲良く食卓を囲むのは最後になりかねないから。
「はは、なかなか好評で良かったです。基本的にここの海鮮が新鮮なおかげですが、チーズをかけると大抵美味くなる説があります」
「では、今度はこちらを食べてみよう」
王弟殿下とレベッカ様がロブスターからカレーに向き直る。
「はい、バターチキンカレーはチキンの旨味、トマトの酸味、ミルクのコクをバランス良く合わせたものです。辛いカレーもあるのですが今回は初心者もいますから控えめにしました」
「ほう、コク深く……まろやかな……これははじめての味わいだ」
「チキンの旨味と酸味のバランスが絶妙ですわね」
「こっちもはじめての味だけど美味しい」
ユージーンも、控えめに感想を言ってくれてる。
「レベッカ様は辛いのがいけるとおっしゃっていたので今度は辛いカレーも作りますね」
「楽しみですわ!」
「私も良ければ食わせてくれ」
流石に王弟殿下を今日はカレーなので食べに来ませんか? などと誘うのはドキドキするけど治療の時に出せばいいかな。
「わ、私のような素人の料理で良ければ、また治療の時にでも」
◆ ◆ ◆
バターチキンカレーを食べて王弟殿下とレベッカ様は大満足の顔で帰って行かれた。
はー、ひとまず食事は終えたが、ユージーンに大切な話をする前に汗をかいたのでひとまず風呂に入る俺。
身を清めてから真実を話すぞ。
風呂は俺の後にユージーンが入った。
俺はその間、落ち着かなくてレベッカ様がお土産だとくださった赤ワインを少しだけ飲んだ。
「あれ、ネオ、珍しくお酒飲んだんだ」
風呂上がりのユージーンがリビングに戻って来た。
「緊張してて」
「ああ、王弟殿下までがいらしてたから緊張したよね」
「それもだけど、俺はもう一つ重大な話をユージーンにしなければならない」
「なになに? なんか怖いな」
「とりあえず、そこに座ってくれ」
俺は正面側のソファに座るよう促し、ユージーンはやや緊張した面持ちではあったが、大人しく座ってくれた。
「で、何かな?」
「とりあえず、俺は君に謝らないと行けない」
「今更なにを?」
「俺は君の乳兄弟のジョーではない、ただの記憶喪失とかではなかったんだ」
「え?」
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