希死念慮

「死にたいのです」


「休みたいだけだろ」


 男は財産をすべて金に変えて、南の島で豪遊した。


「やはり死にたいのです」


「ちゃんと休めてないだろ」


 男は豪遊をやめて、孤島の小屋で寝て過ごした。


「いつ死ねますか」


「そのうち死ねるさ」


 男は寝て過ごした。

 男の部屋に乾いた風が吹く。


「やはり死にたくない。こんなふうに死ぬのは嫌だ。このままじゃ、世界から取り残されたままじゃないか」


「違うよ。君が世界を拒絶したんだろ」


「なんだ、そうか」


 男は寝て過ごした。

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