逮捕


「自称魔法使いドロシー! 貴様を詐欺罪で逮捕する!」


「証拠は?」


「貴様に願いを叶えてもらえなかったという数多の訴えがある! 魔法などありはしないとな!」


「それだけじゃ弱いなあ。いまから魔法を見せるから」


「待て! 本官の記憶を消そうとしているな?」


「信じてるじゃん、魔法を」


「催眠術だ! 他にも違法医療行為でも起訴されている! 観念するんだな!」


「ちょっと待ってて、ごはんの時間だから」


「逃げるつもりか!」


「刑事さんも一緒にどう?」


「ふん、賄賂は貰わん!」


「大げさだなあ。じゃあちょっと見てて」


「貴様! 今、炎をどこから出した! くっ、卵が宙に、ピアノ線か!?」


「うるさいなあ。おや、何か落ちましたよっと。これ、刑事さんの履歴書?」


「拾うな! ほ、本官は、けして辞職などはしておらん!」


「なるほどなるほど。君は私を逮捕することで、自分を確立したいわけだ」


「観念したか!」


「してあげましょう。ほら手錠をかけて」


「はっはっは、ついに自称魔法使いドロシーを逮捕したぞ! 署に連行する!」


「いってらっしゃーい」


 後日、男は精神病院に入れられた。

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