「眠れないのです」

「睡眠薬は？」

「試しました、ホットミルクを飲みハーブを焚きまじないを部屋に貼り、ありとあらゆる方法を。それでも眠れない」

「原因に心当たりはあるのかな」

「ありません」

「眠れないならいっそ寝ないでいたらいい。そうしていれば気絶はできるよ」

「試しました。それでも」

「……こっちへ来て。子守唄を歌ってあげよう」

「はい」

　私は教会で聴いた鎮魂歌を歌う。

「眠れそうです」

　そういうと、その霊体は薄れていった。

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。（ログインが必要です）

新規登録で充実の読書を

マイページ: 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる; 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める; フォローしたユーザーの活動を追える
通知: 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴: 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい