汚言症


「 」


「この通りです」


「ふむ」


「 」


「こんな言葉を使う子ではないのですが、三日前から私にも夫にもこの調子で」


「いいかな、―――ちゃん。その言葉はあなたの意志ではないのですね?」


「 」


「どうしたらいいのでしょうか」


「 」


「チックかもしれませんね。―――ちゃんはたしか中学二年生でしたか」


「ええ……でもテストの成績も順調で、なにも口うるさく言ってはないのですが」


「 」


「なにか伝えたいことがあるのかな。書いてみようか」


「先生、それも」


「 」


「駄目みたいですね」


「 」


「それじゃあ『はい』の時は二回、『いいえ』の時は一回だけその言葉を発してみようか。できる?」


「 、 」


「よし、その言葉は君の意志で発しているのかな?」


「 、 」


「……そうかい」


 『解決』したので家へ帰した。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る