交霊術



「しんだひとをよべますか?」


「どうして呼びたいのかな」


「おかあさんに、あいたいから」


「……もちろんできるよ。でも、すこし危ないんだ」


「あぶない?」


「死んだ人に引っ張られて、連れていかれる可能性があるからね」


「こわいけど、いいよ」


「私が困るかな」


「……じゃあ、やりかただけおしえて。ひとりでやる」


「おうちの人が止めてしまうよ」


「だいじょうぶ、ひとりだから」


「そうか。わかった、じゃあ死んだ人を呼ぶ魔法を教えるね。この地図の場所へ行くと良い」


「それだけ?」


「うん。そうしたら、いつかは必ず会える。地図の場所がわからなくなったら通りすがりの人に聞くといい」


「ありがとう」



 彼はそう言うと、曲がった腰を押さえて、老人保護施設の地図を手に、出て行った。


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