第3章 退院してから

第17話 退院して、自宅へ

 退院後、荷物を持った主人が、駐車場まで前をスタスタ歩いていく。

「ちょっと待って。もう少しゆっくり歩いてくれる?」


 我家の車はワンボックスで車高があるので良いですが、セダンタイプだと乗り降りは大変かと思います。(座って、中で向きを変えるのが難しい)

 シートのお尻が沈むのが辛い。振動が腰に響く。


 我家の玄関前に数段、階段があり、手すりもなくて不安定。

 助けてもらおうとすると、前から手を伸ばし、引っ張ろうとする。

「そんなふうに引っ張ったら、余計に怖いよ〜」


 えーと、主人は一応、介護福祉士なのですが。介助の仕方はどうした……。(苦笑)


 我家の2階への階段の急なこと! 段差も高い……えっ?! こんなにキツかった?


 立っていても、座っていても、手の届く範囲の物しか取れません。(特に膝から下の物は、腰を曲げずに膝を落として屈んで、そこから脚の力で立つのが大変。やってみてください。汗)


 そして、我家のリビングは床に座る生活、ラグを敷いてローテーブルに座布団、ゴロゴロ寝転んでくつろぐスタイル。

 しかし、これはもう無理なのです。

 床に座ったり、立ったりするのは大変ですし、正座以外はNGです。床に寝たら、起きるのはとても難しい。


 できること。

 できないこと。

 がんばれば、できること。

 がんばれば、できるけど、できればやりたくないこと(負担が大きいから)。


 退院したら、また今まで通り、すっかり元の生活に戻ると思っていたらしい主人。

 一緒に術前の説明を聞いたのですがね。当事者ではないからか、認識の差が大きいです。「これは大丈夫?」などという気遣いは、一切ありません。

 察して欲しいというのは無理だとわかっているので、逐一、説明する必要があるのでした。(苦笑)


 コルセット着用は約3ヶ月。

「え? そんなに長いの?」って、まるではじめて聞いたみたいで、おーい、そこから、か〜い。

 ずいぶん前からその話は、何度かしておりますよ。(ため息)


 将来を見越して、玄関、トイレ、お風呂、階段に手すりを付けてある我家、お風呂の入口も段差の無いバリアフリータイプ、今回はとても助かりました。

 でも、こんなに早く役に立つ日が来るとは思っていなかったのでした。(笑)


 退院後の自宅での生活には、予想通りのこと、予想外のこと、実際にその場でないとわからないことがいろいろあります。

 ひとつひとつ、工夫して、やっていくことに尽きますね〜。

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