8月14日

 最近の創作物は異世界モノで溢れ返っていると先日の日記で愚痴った沢田ではあるが、実はこれこそ普遍的なのではないかと考えているテーマがふたつある。色恋沙汰と食う事だ。後者は金銭と読み替えてもよい。現代のように高度に発達した文明社会の先進国においては、金があれば食うには困らないので富裕と美食はほぼ同義と考えてよいだろう。


 何故これらが普遍的だと思うのかと言えば、ひと族に限らず植物を除くほぼ全ての生物がこのふたつに支配されているからだ。魚も鳥も昆虫も獣もオスはメスを取り合って争いを繰り広げる。エサを確保するために縄張りを主張して争う。生殖と摂食は動物の二大欲求と言えるのではないか。どれほど高度に進化した霊長類であろうとこの欲求からは逃れられない運命にあるのだ。

 人族だけでなくエルフ族もドワーフ族もそれは同じで、彼らが引き起こす犯罪の大部分は色恋沙汰か金銭が絡んだものだ。つまり動物という生物はこの二大欲求によって罪を犯したくなるくらい根源的に支配されており、それゆえにそれらの事象に対する興味も段違いに大きくなるのだ。


 特に前者の恋愛モノに関しては文字が発明される以前から様々な作品が生み出されてきたものと思われる。そして現代に至ってもなお様々な作品が書き続けられている。これほど普遍的なテーマが他にあろうか。というわけで沢田も脳みそを絞りながら恋愛モノの小説を書いたりしているのであるが、


「まるで読まれないなあ」


 といつものぼやきを繰り返すばかりである。

 なにしろ沢田には恋愛経験がない。「年齢=彼女いない歴」だ。念のために言っておくが「年齢=彼氏いない歴」でもある。その点は誤解のないようにお願いしたい。


 もちろん恋愛経験がないから恋愛モノを書いてはいけないという決まりはない。宇宙に行ったことがないからスペースオペラを書いてはいけないという決まりがないのと同じである。

 重要なのは面白い話が書けるかどうかだ。沢田にはそれができない。モテない主人公はモテないまま話が終わり、片思いの主人公は片思いのままバッドエンドを迎える。


「だって作者の自分に恋人がいないのに主人公だけラブラブになるなんて悔しいじゃん。だからボクの恋愛モノは全て悲恋で終わるのだ。わっはっは」


 ということらしい。肝心な部分で読者の期待を裏切っているのであるから見向きもされないのは当然である。


 食う事=金銭に関しても同様だ。貧乏な主人公は貧乏なまま終わり、社会の底辺で生きる主人公はそこから這い上がれないまま路地裏で野垂れ死ぬ。


「だって作者の自分が底辺なのに主人公だけ成り上がったら悔しいじゃん。だからボクの主人公は絶対に立身出世しないんだ。ふっふっふ」


 ということらしい。

 せっかくの題材もあほあほなプロットではろくな作品に仕上がらない。いつものようにPV0が並ぶだけなのだが、当の沢田はまったく意に介さずに今日もあほあほな文章を書き続けている。









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