コメの性質は時代によって
弥生時代に様々なモノとともに日本にコメがもたらされたのだが、当時のコメはもちろん今のコメとはだいぶ様子が違っていた。
まず毛が生えている。
どこにというと実の先端に一本ずつ生えている。
昔は稲穂に付いている米の一粒一粒に
コメの品種改良によって変化したのは芒だけではない。
虫に強い、寒さに強い、病気に強い、そして収量の多い米を得るため、人は稲作の初期から現代まで絶え間なくコメの品種改良を続けてきた。
そして品種改良の対象となったのは、栽培に有用な形質だけではない。
食べやすさ、美味しさの追求もまたコメの品種改良の大きな目的だった。
コメには食感が異なるいくつかの品種がある。
代表的なのが、モチ米、うるち米、そしてとうぼし(インディカ米)と呼ばれるコメである。これらの品種の違いは含有するアミロースという成分の量である。
アミロースの量が少ないと、もちもちした粘り気のある食感になる。餅の原料となるもち米はコメの中で最もアミロースの量が少ない品種である。
アミロースの量が多いと、ぱさぱさとした食感になる。いわゆるタイ米を含むとうぼしがこれに当たる。
うるち米のアミロース量はもち米ととうぼしの中間にあり、もちもち感はあっても粘らない両方の食感を持ち合わせる。現在日本でよく食べられている米はこのうるち米である。
日本で稲作が始まった弥生時代のコメは、現代のうるち米よりもとうぼしに近い、ぱさぱさ感のあるコメだったと考えられている。
古墳時代になると、もちもち食感が増したうるち米に近い品種が栽培されるようになり、平安時代になると、うるち米が主体となったことが食器の変遷から見て取ることができる(後述)。
我々の祖先がコメにもちもち食感を求めて品種改良を執拗に繰り返した結果、現在のうるち米(学名Oryza sativa subsp. japonica)、通称ジャポニカ種とよばれるコメが作り出された、と考えられるのである。
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