第17話 100階層の主
ダンジョン攻略は思いのほかスムーズに進んだ。
途中火を噴くスライムとか、尻尾を投げつけてくるサソリとかが現れたりしたけど時間の関係上そこらへんは割愛させていただく。
いや、説明したい気持ちはやまやまなんだが、そうものんきなことを言っている場合ではないのだ。
そう。遂ににたどり着いたのだ。このダンジョンの最下層と言われている100層に。
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俺達は重々しい雰囲気でたたずんでいる扉の前に立った。
この扉を開ければ、いよいよボス戦だ。
世界最高難易度との呼び声高いミュリアのダンジョンの最深部だ。今までの魔物とは比べ物にならない強さの魔物に違いない。
気持ちを整えた俺は手に万物切断を出し、戦闘態勢をとる。どうやらカエデも準備OKのようだ。
「さあ、行くぞ……!」
「うん…!」
二人で目の前の扉を目一杯の力で押す。
ゴゴゴゴゴゴゴ……、と大きな音を立ててゆっくりと扉は開いた。真っ暗だ。
部屋の中に足を踏み入れる。
そこにいたのは大きな大きなカブトムシだった。
……カブトムシ。
その人気さから昆虫の王様と呼ばれている大人気の虫だ。こいつは防御力、攻撃力ともに優れていて、身体は漆黒の艶のある硬い装甲に覆われているため物理攻撃をものともせず、魔法攻撃を全て反射する。そして、自慢の角から繰り出される必殺の突きは世の
また、羽もついているので空中での高速移動も可能だ。
つまり、『物理完全耐性』、『魔法完全耐性』、『貫通攻撃』の三つの特性を兼ね備えたその蟲は、全冒険者にとって天敵であるといえた。
……いや、訂正しよう。この場合、天月薫を除いた全冒険者と言ったほうが正しいのかもしれない。
彼の
するとパリィと音がして、カブトムシの装甲から一気に光や艶が消え去った。物理攻撃や魔法に対する耐性がなくなったのだ。
「今だ!攻撃を!」
「はい!出力最大、
これにより攻撃が通るようになったカエデが超弩級の魔法を次々に打ち込んでいった。途方もない威力の魔法のせいで部屋の中に土煙が舞い視界が悪くなる。部屋の形も少し変わってしまった気がする。
「うわぁぁぁ……(絶句)。」
……カエデ、恐ろしい子。
正直、どれを食らっても一発KOの魔法ばかりだったがあいつは腐っても(別に腐ってはいない)ダンジョンのボス。一筋縄ではいかないようだ。
同情してしまうぐらい相当ボロボロにやられたはずなのに、カブトムシは何のダメージもなかったような感じでケロッとしてこちらの様子をうかがっている。
もしや、あいつ
「カエデ、あいつから見えない場所に適当に魔法とかで隠れててくれない?」
「え?でも……。」
「俺が戦う。」
「……わかりました。お気をつけて。」
カエデの攻撃では致命傷を負わすことは難しいだろう。だから、俺がやる。
カエデが魔法で隠れたことを確認し、おれは奴と向き合う。
「さてと。最近俺の見せ場もなかったし、いっちょ本気出しますかぁ!」
こちらに向かって突進してくるカブトムシを軽くいなし、俺は空に飛びあがる。そして俺は足場を作成し、状況を俯瞰する。
うん。これならいけそうだ。
「喰らえ、
空中から大量の剣が哀れな蟲に降り注いだ。鋭く研ぎ澄まされた剣は一本一本が鋼をも切り裂く威力を誇り容赦なく獲物に襲い掛かる。その速さは秒速5㎞に達する。
またカエデに被害を出さないために狭い範囲で発動されたため、さらに威力は上がり発動してから3秒もたたないうちに昆虫の王様は肉塊と化した。
よって、ミュリアのダンジョン100層攻略完了。
「ふぃぃいい……。勝ったぁ…」
「お疲れ様カオル!最後の技めっちゃすごかった!何アレ!?」
カエデが駆け寄ってくる。
「ああ、あれはね。新しく手に入れた俺の能力の……。」
言おうとした口が止まる。
「……?どうしたの?」
「ちょっと待って。何か見逃してはいけないような違和感を感じる……‼」
なんでナレーションが「ミュリアのダンジョン100層攻略完了」なんだ?ダンジョンのボスを倒したのだから「ミュリアのダンジョン完全攻略」じゃないのか?
まさか……。
確かに100階層までとは誰もはっきりとは言ってなかったけど!それって、そんなことって!
嫌な予感ってよく当たるよね。
予想的中。
目の前に次の階層へとつながる階段が現れた。
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【作者コメント】
ダンジョン編が二話で終わるわけないだろ☆
≪お願い≫
「面白い!」
「続きが気になる!」
と少しでも思っていただけた方は作者の励みになりますので、☆、♡、是非!コメントをお願いしますっっ!!!!!!
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