第18話 転機


101階層からのダンジョン攻略は難航した。


100階層以前と比べて、出てくる魔物は一匹一匹が今までのボス戦レベルの強さにまで成長したし、急に魔物同士で連携を取り始めた。


別に一匹当たりの強さは大した問題ではないのだが、連携を取られるのがキツイ。数で有利を取られてしまったら、こちらの打てる手が限られてくる。

またそれに加えて、階層の雰囲気も大きく変化した。罠とかも出てきたし、洞窟のダンジョンだったはずなのに空から太陽が燦燦と降り注ぐ始末だ。まったく意味が分からない。


だが俺たちはなんとかボス戦の前まで辿り着き、110階層前のセーフティルームに着いた。次がいよいよボス戦、ということで火を焚いて軽く食事をしつつ束の間の休息をとっているところだ。


「これ難易度の上昇の仕方やばくない?上の階層とは最早別のダンジョンなんですけど。」

「ね。なんかいきなり落とし穴が出てきたり毒ガスを噴射してきたり急に悪意が増した感じだよね。この感じだともしかしたら次のボスめちゃめちゃ強かったり……?そうしたらどうしよう。。。」


「その可能性はあるね。でも多分大丈夫だと思うよ?」

能天気に俺は言う。


「凄い自信!ちなみにその自信はどこから来たの?w」


「あー、確かに俺の新しいスキルについて詳しく話してなかったかも。じゃあ今のうちに俺の新しい能力について説明しておこうと思うんだけどいい?多分これ聞いたら不安とか吹っ飛ぶと思う。」

「おぉ?言うねー。うん、この前聞くタイミング逃しちゃってからずっともやもやしてたから聞きたい!」

「オーケー。待たせちゃってごめんねw えっと、俺が新しく手に入れた能力は万物創造オールクリエイティっていうんだ。」




万物創造オールクリエイティ

薫が目視できる範囲内にある物質の構造を書き換えることができる。

前回発動した「残酷な死の雨デッド・オブ・ファフロツキーズ」は、空気中の窒素を剣に変換する技だ。

同じ質量の物質を使用するのではなく、同じ体積の物質を使うので割とコスパもいい。使い終わったあとは元に戻せるので、空気が薄くなるとか言った悪影響もほとんど出ない。亜空間でできることが現実世界でもできるようになった感じだ。


またこのスキルは、自分の攻撃としても優秀だが、味方のサポートスキルとしても優秀だ。

味方のために空中に足場を設置することもできるし、品質のいい武器を即座に作成することも敵の攻撃を防ぐ鋼鉄の盾を出して味方を守ることもできるまさに攻防一体のスキルだ。




「……なにこのすっごいスキル!?もうカオル一人でもいいんじゃない!?」

「いや、そんなことないよ。このスキルは仲間と連携したほうが圧倒的に強いんだ。だから攻略しよう。正直これ聞いたらいける気してきたでしょ?」


「……うん、負ける気がしないねw」

「でしょ?じゃあ、そろそろ行こうか。」



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真っ暗な部屋にいきなり音を立てて光が灯る。開始の合図だ。

魔物の襲撃に備えて臨戦態勢をとるが、何の気配も感じない。


「何だ?」

違和感を感じる。


少し遅れて光に目が慣れた。

すると部屋の真ん中にポツンと何も書かれていない真っ白な看板が一つ立ててあった。


待っていても特に変化はなかったので、恐る恐るといった感じで近づいてみると看板に文字が浮かび上がってきた。センサーで俺たちに反応して動き出す仕掛けらしい。どうやら危害を加えるつもりはなさそうだ。どれどれ、読んでみるか。



『ここまでの攻略お疲れ様で御座います。まずは110階層まで到達されたことに敬意を表させていただきます。それと同時に、お二方の戦闘能力の高さに驚かされました。実はこのダンジョンの101階層~110階層は挑戦者の実力を測るために難易度がとても高く設定されているのですが。

今まで数々の冒険者を見てきましたが、これほどまでにお強い方はいまだかつて見たことがありません。そこで、その強さを見込んで一つお願いがございます。お受けしていただけませんでしょうか。』


看板から急に話しかけられて、急にお願い事をされた!?これどーゆー展開???

いきなりすぎて脳の処理が追いつかない。


「えっと、急にお願いって言われても。ていうかそもそも君は誰なの?」


『申し訳ありません。私の存在についてはまだお話しすることができないのです。名前を知ることでお二人が危険な目に合うのだけは避けたいので何卒ご了承いただきたいと思います。』


知ったら危険な目に合う名前って何!?怖。


「まあいいや。それでお願いって何?」

『私のお願いといいますのは、このダンジョンの真の主である魔物を討伐していただきたいのです。』

「え、そんなこと?全然いいよ?」


『そうですよね無理ですよね……。え?本当ですか!』

「うん。ダンジョンの主を倒すだけならもともとそのつもりだったしいーよ?いいよね?」

「うん!私はカオルが行くならどこにでも!」


『ああありがとうございます!!!!!!まさか受けてくれるとは!期待しております‼』


そんなに喜ぶ?文字だけでも相当な喜びが伝わってくる……。

あれ、これ受けたらまずいやつだったかな?



『本当にありがとうございます。是非お二人に主を討伐していただきたい!ただ、正直なことを申し上げますと主は超強力なので今のお二人でも倒すのは難しのが現実です。そこで一つ提案がございます。私、お二人の実力はすべて把握しているのですが、それぞれ弱点がおありなようですね。そこで、私が今までの戦闘データを基に、それぞれの弱点を克服する訓練メニューを作成いたしましたのでこれに沿って訓練していただきたい!』


凄い熱量だ。


「お。おう。わかった。でもその主はそこまでに強いのか?今の俺達も十分強いと思うけど。」

『はい。主はあまりに強力すぎて、創造した神ですら手が付けられなくなりこのダンジョンに封印されたと伝えられています。本来であればそのままにしておくのが一番良いのですが、最近封印が取れかかってきていていまにも動き出しそうなのです。なので、手遅れになる前に倒してしまわないと災害級の被害をもたらすことになります。』



「……じゃあ完全に他人事でもないみたいだな。よし!じゃあそいつをさっさと倒すためにもう練習を始めよう!練習メニューを出してくれ!」

「私も!」


『はい!そこまでやる気を出していただけるとこちらとしても張り切りがいがあります!それでは開始させていただきますね。それではまず体力を伸ばす訓練から行きましょう!』


その言葉を合図にゴゴゴゴゴゴゴ……と大きな地響きが鳴る。奥の扉から大量のボス級の魔物が現れた。どれぐらい大量かって?そうだな、星の数を想像してみるといい。


『そうしましたら、お一人ずつこいつらを全部狩ってください。それではスタート!』


スパルタすぎるだろぉぉおおおおお!!!!!!




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