第10話 乙女心は真のミステリー
「……え、カエデさん、魔法を使えんの?」
「はい!一応それなりに!」
「じゃあ、何でもいいからそこに適当に魔法を撃ってみてくれない?」
「ここで撃っていいんですか⁉」
「ああ、言ってなかったか。この空間は俺の能力でできてるから、気にしないでいーよ?この空間が壊れるとかないし。」
半信半疑の彼女にこの際だからとついでに俺の
「……わかりました。じゃあいきますよ?
魔法を撃った直後、バタンと彼女が倒れる。
「おいおい、大丈夫か⁉」
「はい、魔力切れでちょっと気分が悪くなっちゃって…」
一体どんな魔法を撃ったんだと思い、そっちの方向を見ると全てのサンドバックに、的確に雷の柱が降り注いでいた。
……は?嘘だろ?
だって、あのサンドバック特注品だから並大抵の攻撃じゃ傷一つつかないようになってるんだけど。全部跡形もなく消滅しちゃってるよ。
まさかこんな威力の魔法を撃てるとは思ってなかった。
もしかしたら俺はとんでもない子を仲間にしてしまったのかもしれない。
ただ、そう思い彼女を見ると、取り繕っているが魔力切れでかなり苦しそうにしている。
俺が言ったから魔法を撃ってくれたのに、こんなに苦しい思いをさせてしまうのは申し訳ない。
……そうだ。俺なら
やってみよう。
ファンタジーでよく出てくる、ガラス瓶に入った緑色の液体を創造してみる。
……一応できた。
「シルキー、これってちゃんと
『はい。これを飲めば魔力が限界まで回復します。』
「よし。じゃあつらいと思うけど、これを飲んでみてくれない?」
「……はい。」
カエデは、両手でガラス瓶をもって、コクコクと
するとみるみると顔色がよくなっていく。
よかった。成功だ。
「すごい!苦しい感じが一気になくなりました!しかも、力がみなぎってきます!何を飲ませてくれたんですか?」
「ん?ああ、俺が作った
「い、いえ!ほめてもらおうと思ってちょっと大きな魔法を選んでみたのですが、逆に心配されてしまい…申し訳ないです……。」
「え、ちょっと大きな魔法って、カエデさんのステータスどうなってんの⁉」
「あ、そういえば見せてなかったですよね。今見せますね。」
そう言って彼女は俺にステータスを見せてくれる。
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カエデ
Lv,12
HP:760
Atk:117
Def:165
Spd:340
MP:570
Luk:200
耐性:なし
称号:なし
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まじか。
この子全属性の魔法使えるんだけど。
このレベルで、このステータスはすごい。
悔しいけど、魔法系の戦闘は彼女に任せられるから、俺の魔法習得よりも彼女のレベルアップの方が今は優先かもなぁ……。
グスン……。
「すごいステータスだね…。もう体調は大丈夫?」
「はい!もうへっちゃらです!」
「じゃあ、今から、装備とかを買いに行こうと思うけど、
その前に、山に行ってレベルアップしに行こうか!」
「……はい。」
微妙な返事が返ってくる。
え、なんか俺おかしなこと言っちゃったかな。
乙女心がわかる能力が欲しいかも。
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現在私たちは山にいます。
彼を始めて見たときから今まで、ずっと心臓がバクバクしっぱなしだ。彼のことが好き……なのかな?
でも人生で初めてこんなに優しくされて、惚れないほうがおかしい気もする。
本当に彼は、ううんカオルは優しいと思う。
ただ、正直、山に私を連れていくとは思わなかった。衝撃だった。
思わず態度に出てしまうほどに。
さっきのカオルのあの一言での、私の気持ちのアップダウンは激しかった。
考えてみてほしい。一緒に町に行ってお買い物ができると思った途端に、山でのレベルアップ⁉
落差が激しすぎる!!!!!!
まあ、一緒に入れれば楽しいし、私のことを考えてレベルアップさせてくれてるのはわかるんだけどさ。でも流石に長時間一緒に魔物を狩り続けるのは絵面的にも精神的にもきつい……
なんてことは満面の笑みを浮かべる彼には言えないっ!
これが惚れた弱みってやつだろう。
……そんなことを考えながら私はひたすら魔物を狩り続けるのだった。
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