第7話 そうだ。町に行こう。
『
「ああ、そうだった。」
そういって俺はステータスを表示する。
「この{亜空間支配【派生】完全再現}の説明を頼みたいんだが。」
レベルアップの時に気づいたら増えていたこのスキル。
使用方法がわからず、出鱈目に「完全再現っ!」と唱えてみたりしてみたけど、特に変化は起きなかったので困っていたのだ。
『承知いたしました。まず前提としてなのですが、「亜空間支配」の権能の一部に、亜空間内に生死を問わず生物が送られてきた場合に自動でその生物について解析を行い情報を収集し保存する、というものがあります。』
「ふむふむ。」
『「完全再現」は、この権能から派生したものになります。では、具体的にどのような能力かといいますと、一度亜空間内に入った生物の
「ふーん…。いや、ちょっと待って。相手のスキルを使えるってことは、ついに俺も魔法を使えるようになるの⁉」
『はい。今回倒したドラゴンは炎属性の上位種なので、炎系の魔法ならほぼ使えるようになられるかと。ちなみに、常時発動系のスキルは、そのスキルを持っている生物が亜空間に入った瞬間に取得してしまうため、主様の「炎完全耐性」はドラゴンを倒し、亜空間に取り込んだことによって取得しました。』
「…ってことは、倒した魔物は一回亜空間に突っ込んだほうがいいんだ⁉」
『それがよろしいかと。』
よし。どんどんいろんな属性の魔物を狩って、いろんな属性の魔法を使えるようになろう!
そのためには町に行って情報を集めなければいけないな。
……だが、その前に自分の能力について知る必要があるよな?(わくわく)
よーし、それじゃあいっちょ試してみますかぁ!
魔法の使い方はラノベで散々読んだからわかる。
なんか、体中に気(?)を巡らせるイメージだって言ってたと思う。
で、その気を掌に集中させる。
よし。準備OKだ。
異世界初の魔法は…やっぱり定番のアレしかないよな?
「行くぜ……
ボっ!
手のひらから発生したバスケットボールサイズの
そしてそのままサンドバックに直撃し、爆発した。
サンドバックは跡形もなく、なくなっていた。
「やばい、俺魔法の才能あるかも!!!!!!」
という展開を期待していたのだが、どうやらラノベで得た知識だけでどうにかなるほど魔法は甘くないらしい。
こんな時は!と、シルキーに聞いてみるが魔法の使い方に関してはシルキーは教えられないらしく、魔法を使える人に実際に教えてもらったほうがいい。とのことだった。
ってことは俺は今すぐに魔法使えないのかよ⁉
マジか……。
魔法が使えることへの期待が大きかったため、あまりのショックに思わずベッド(今自分で作った)に倒れこんでしまう。
そしてそのまま深い眠りに落ちてしまった。。。。
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目が覚める。
『おはようございます。』
「……おはよう。俺、いつのまにか寝ちゃってたのか。どれぐらい寝てた?」
『はい、現実世界での時間では3時間ほどですがこの亜空間の時間では3日ほどお眠りになられてました。体が慣れる前にいきなり
「3日⁉ マジかぁ。。。」
でも、現実世界では3時間しか経ってないんだからそのうち時間感覚がバグってしまいそうだ。
これから俺は、魔法を使えるようになるため……ゴホン。いや、食料や調味料を手に入れるために早急に町にいかなければならないので、予想外の睡眠により予定が変わってしまったが今から行動を開始することにした。
「じゃあ、行ってくるよ。」
『はい。現在の外の世界の時刻は21時46分です。なにかお困りのことがあれば遠慮なくお呼びください。それではいってらっしゃいませ。』
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冷たい空気が肺に染み渡る。
実に3日ぶりの外の空気はおいしい。
ただ、そんなにゆっくりしてられる余裕はない。早くしないと町の人たちが全員寝てしまう。
「それじゃ、いっちょいきますかぁ!」
足元に
レベルアップによって俺は五つの
「おおー。さすがに壮観だな。」
宙から見下ろすこの世界は美しかった。
文明と自然が調和されている、そんな感じだ。
ただ、気を抜くとすぐ地面に落ちてしまうので早めに目的地を決める。
「よし、あの町に行ってみよう。」
俺は、ひと際明かりの強い町に目的地を設定した。
そうと決まれば、ただ進むだけだ。
空中戦の練習もかねて、空を自由自在に跳ね回りながら目的地に向かう。
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着いた。
現在、23時24分。調子に乗って空を飛び回っていたら思ったより時間がかかってしまった。
「流石にもう寝静まってる時間だから、今日は魔法については聞けないよなぁ……」
がっくりして肩を落とす。
が、遠くから足音と怒鳴り声が聞こえてきた。
しめた!人だ!これで魔法について聞くことができる。
そっちの方向に向かおうと思ったが、「待て!」「おい、回り込め!」「ぜってー逃がさないぞ!」という怒鳴り声が聞こえてきたので、ただ事ではないと気付き、その場にとどまる。
おいおい、だんだんと声が近づいてくるぞ⁉。
ここからではあまりよく見えないが、一人のぼろぼろの少女を大勢の男たちが500mほど後ろから追いかけているっぽい。
あの、首につけてるのは何だ?まさか、奴隷具⁉
あ、少女と目が合った。こっちに気づいたらしい。
奴隷なら助けるべきだけど、商人の人にも事情があるかもだし、もしも本当に悪い子だったらどうしよう……
と、迷っているうちに少女が俺のところまで来て、サッと俺の後ろに隠れてしまった。
「お、おい。お前__」
「……たすけて」
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