第38話 友のため

 南方圭太郎に連れられて来たのは、鉱山の麓、そしてその地下の研究所だった。


「じゃあ、本当にあいつらは死んでなかったんだな?」


 浅田邦彦の声が上ずる。


「その通りだ。彼らは撃墜される直前に脱出していた。そして、真の敵は地球人であることを教えてくれた。そのための準備をこの三日間、わたしと彼らは共同して行っていた」


「なんでわたし達に教えてくれなかったんですか?」


 巨大なエレベーターで降下する。おそらく〈カミノネゴウ〉のためだろう。


「彼らの言うことが、信用に足るかわからなかった。特に、ゴウと接触させては何が起こるかわからないからな。そこで、仮にも武器を持っているレイチェルくんとゴウをペアにさせてもらっていた」


 なるほど、とレイチェルは理解した。


「それに、恥ずかしいことだが、彼らの言う、協力する根拠がどうもおかしくってな」


「なんて?」


〈カミノネゴウ〉が訊ねる。


「友のためだ、と」


 邦彦の目が一瞬潤んだ。


「おかしいだろう。彼らは地球に来て何を経験したんだろうな」


 そういう圭太郎だが、横目で邦彦の顔を盗み見ていた。と、エレベーターが止まる。


「さあ、ゴウ、あのイガカ星人が用意した改修プランを君に実行する。いいね」


「うん。僕は信じるよ」


〈カミノネゴウ〉はすぐに返事をした。


「彼らには秘策があるらしいが、万が一のことは当然ありうる。それに、彼らとゴウが合流すればより確率は高まるはずだ。それに、切り札もある」


〈カミノネゴウ〉の周りに作業服の男たちが群がる。その手には巨大なタンクのようなものを抱えている。


「時間はない。みんな、作業にあたってくれ」

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