第22話

 誠皇晋が腹をかかえてげらげら笑う。「んだなっ! そりゃやっぱ猿だろうよ! 猿らをスノーマンだって法螺吹き野郎が吹聴したのさ! 今度のは虚言で決まりだな!」

 違う。目撃者は噓などついていない。その証言は誇張ではなく真実なのだ。

 地元のおっさんらが鼻で笑ってまともに相手にしなかった?……

 おかしい。誠皇晋は一般受けする人柄だ。概して誰とでもすぐに仲よくなれるフレンドリーな誠皇晋を鼻であしらうなんて不自然すぎる。きっとおじさんたちも口を噤んでいたかったのだ。そう語りたくはなかったのだ,真実を――スノーマンが実際に存在していることを。

 本当のことを話せなくてごめんねセイノシン。口どめされているから絶対言えないけれどもスノーマンは実在している。現にスノーマンに会ってお喋りし命まで助けてもらった人間がおまえの目の前にいるんだもの。

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