第21話

「今度のはどんな仕事? 何が出るの?」

「スノーマンだってよ! 終日吹雪峠にいっぺぇ出るって!――んなわけねぇし!」

 真っ白になった,一瞬,脳内が。

「ス,スノーマンなんていないよ」

「そうさ,いるはずねぇよ。野生猿の大群を,誰かが雪男だの赤男だの面白おかしく大袈裟に言いふらしたんだろうってさ――地元のおっさんらも鼻で笑ってまともに相手にしてくれねぇし」

「赤男? 雪男なら普通白男って表現されるんじゃない?」

 誠皇晋が黙りこみ,相手を直視する。しまった!――余計なことを言った。

「……そう言われればそうだな。何で白男じゃなく赤男なんだ?」

「ほ,ほらっ――猿だから! 猿だから赤男なのさ。猿って赤ら顔してるじゃん」

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