第17話

「おまえ何で終日吹雪峠なんかにいたわけ?」

「ついてこいって言われたから」

「誰に?」

「先生」

「先生?…………いや,いーやいやいやいやいや……先生って言った?」加護かご誠皇晋は濃い一文字眉と異国情趣漂う両眼との狭い間隔を一搔きした。「てか ――先生ってあれかよ? 中学時代の非常勤講師の? 中洲なかす未知瑠のこと?」

 僕は頷く。

「今あの女のとこにいるわけ? 同居してんの?」

 また頷く。

「用心しなよ」

「え?……」

「中洲未知瑠だよ」

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