第18話

「何?――」

「いっつも言ってけどよ――おまえは女に弱過ぎだぜ。女にかかわって痛い目に何度遭った?」

「うるさいな……」

「事実だろ――中学のときだってアルコールランプを無許可で持ちだしたのは中洲未知瑠なのに,あの女はおまえの所為せいにしたんじゃねぇか」

「やめてよ。あの女とか呼びすてとか――よくないと思う。僕らの先生だった人じゃない」

「生徒に罪をなすりつける先生のほうが,よっぽどよかねぇじゃん。おまえが泣いて頼むから,俺は真実をぶちまけねぇで黙ってたんだ。またあの女に何かされたんじゃねぇのか? 以前急にあの女の店を辞めたのも,ひでぇ仕打ちを受けたからなんだろう?」

「僕の気紛れが理由だって言ったじゃない」

 あの件だけは誠皇晋にも話せなかった。誠皇晋の言うとおり未知瑠が僕を曼殊沙華麗のもとへ行かせた。そして曼殊沙華麗との関係が最近,誠皇晋に知れた。

「いつか,マジで,おまえが女のために破滅するときが来るんじゃねぇかって不安でたまんねぇ」

 それほど心配するなら居候するライター仲間の家に僕を強引につれていけばよかったのだ。なのに誘いを断って歩きだした僕を制止しなかった。そんなのはいつもの誠皇晋ではない。僕と心の距離をおいている証拠だ。きっと曼殊沙華麗との仲を知ったからなのだろう。

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