第7話

 車の窓が叩かれる。未知瑠が窓をあけた。

「トラックが横転したとかで道路を塞いじゃったらしいですよ」男の声だった。

 そう,とだけ未知瑠が返事する。

「パンとコーヒーしかないけど,どうぞ」

「結構よ。十分持っていますので御心配には及びませんわ」

「それはどうも,お節介しちゃって。あと冬用タイヤじゃないみたいだけど――」

「御心配には及びませんわ! 運転は得意ですの!」

「数台先まで警官が回ってきてますよ」

 未知瑠は何も答えずにいた。

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