第6話

 ダブルオウを慰めたくて僕も身の上話をした。僕の終日吹雪峠に来た理由は居候先の主人についてくるよう命じられたからだった……


 終日吹雪峠を越えようとする車列はついに1ミリも動かなくなった。のろのろ運転を余儀なくされた時点で 怒りの最高潮に達していた 未知瑠みちる は今や 半狂乱の状態にある。

 ああ――罵声とともに煙草が投げつけられる。おまえが皿を割ったりするから出発時間が遅れて渋滞と悪天候に見舞われたのだとハイヒールで蹴ってくる。

 未知瑠の暴力のはじまったのは同居3日目の夜だ。彼女のクラブのもと従業員で,かつての教え子でもある居候は折に触れてサンドバッグとなった。

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