第5話

 巨人は両の腕に僕を抱き急斜面を滑りおりた先に広がる森の奥へ奥へと入り,杉の大木の絡みあいながらつくる空洞に僕を寝かせ添い寝した。

 巨人は色々な話をしてくれた。

 自分はスノーマンであり,スノーマンはスモール型のSSと大型のBSの二種が存在するという。スノーマンにとって人間は貴重な栄養源だから見つかれば必ず捕食される。よって二度と終日吹雪峠に来てはならない。自分も夜が明ければ脳の自制成分が溶解し僕を襲って食おうとするから数時間後には出立するように。そして終日吹雪峠での経験を他言してはならぬ。約束を破れば命をとらねばならない。

 そう言ってBSダブルオウはほろほろと泣くのだった。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る