第4話

 巨人が世界もわれんばかりの大音声を発した。

 ごうと一際激しい暴風雪が襲来し血毛身体の群れを一網打尽に吹きあげて連れさった。血に染まる雪面も今や跡形もなく新雪にうずまり眩いばかりの銀世界が果てしなく夜の天空へと繫がっている。

 助けてくれたことの感謝を伝えようとするも一言の言葉も出ない。

「いけない――」長い白髪から覗かれる 濃い群青の瞳がかげった。「 低体温症と凍傷がはじまっている」

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