第3話

「おまえは――BS00ダブルオウか!」血毛身体の群れの奮いたつ気配が伝播した。「首領争いに負けて群れから逃亡した,BSのもと首領だな!」

 血毛身体の群れがじりじりと距離を詰めながら僕たちを包囲する。「人間ともども食ってしまうか……それとも死ぬまでSSの子を産ませるか」野卑な笑いが起こる。「何せ相手が誰でも孕めるんだからよ,下等な両性類ってのは便利だな」

「両性類が何故下等なのですか」

「何故って――そ,そんなのは下等だから下等なんだ。ミミズだのカタツムリだの雌雄同体なのは下等と決まってる」

「女にも男にもなりうる。つまり両性の役割を果たすことが可能なのです。むしろ優秀で上等だと言えるのではありませんか。故にSSはBSの遺伝子をとりこもうと躍起になっている」

「うっせぇ,やっちまえ!」

 血毛身体の群れが一斉に飛びかかってきた――

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