第21話

 しかし、彼が纏う雰囲気が、変化したようにタクヤは感じる。思わず、腰を掛けている椅子を引いた。それはいつでもこの場から逃げることができる、体勢だった。

「イヤだなあ、永良さん。私は何もあなたに身体的に、もしくは精神的に危害を加える、なんてことはしませんよ。そのような怯えた目で、私を見ないで下さい。」

 これでも傷つきますから、とおどけた感で月島は言う。

 月島の口調が今までと違い、ぐっと、砕けたものへと変化した。

 それは、タクヤとの面談が終了したからか。治療が終わったからか。治療する者と治療される者の関係ではなくなったからか。

 先ほど、月島を纏う雰囲気が変化したと感じたのは、彼のこの口調の変化のせいか。

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