第15話

 つい、相手の言動が本音なのか、裏に何か感情を抱いていないのか、いつしか探ることが癖になっていた。それは、相手を傷つけたくない、ではなくタクヤ自身が傷つきたくない、といった強い思いがあるからだ。強い保身からのものだ。

 ただ、それで人間関係の構築ができない、といったことはない。多分、周囲の者たちと大差なく、他人とはうまくつきあっているとタクヤは思っている。他人から極端に好かれることはないが、反対に極端に嫌われるということもない。うまく付き合う反動で、タクヤ自身が他人との付き合いの中、気がつけば疲労が蓄積して身動きがとれなくなってしまう、といったことだけだ。

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