カタルシス

第13話

　それは、月島がカウンセリングといった、心に関する職業のプロだといった証なのだろうか。それともタクヤが第三者から見て、とてもわかりやすい人物だというだけのことなのか。

「その細かな気の遣いをされるところは、永良さんの良いところ、つまり長所なので、気になさらないようにしてくださいね。」

　タクヤが今まで短所だと言われていた、また自身でも短所だと思っていた、否、今でもそう思っているタクヤのその性格を月島は肯定する。

　それは月島の本心なのか、職業上肯定せざるを得ないからなのか。

　細やかな配慮、という部分では、タクヤは今の職場でも重宝がられている。その、タクヤの細かな目の配り、気の配りに、上司、同期、部下からも苦言を呈されたことはない。

　タクヤが教育役を買って出ている部下からも、タクヤは縁の下の力持ち、マネージャー役に向いている、と言われたことがある。