第7話

 とは言え、タクヤは心療内科の扉を叩いたのは今回が生まれて初めてであり、もちろんカウンセリングというものを一度も受けたことはない。もしかしたら月島のこのスタイルが、カウンセリングの一般的なスタイルなのかもしれない。

 カウンセリング、と言うからには、クライアントが話しやすい雰囲気に診察者がもって行くのは当然の事のようには思う。話がし難い雰囲気では診療にならないだろうし、当然、治療にもならない。治療にならなければ、カウンセリングをうたっている事自体が詐欺だと思ってしまうし、ヤブだとの巷の評価となる。

 人事課が薦めてくれた心療内科の一覧の中に、タクヤが今回扉を叩いた診療所の名があった。人事課が薦めるくらいなので信用の置ける診療所なのだろうし、月島はその診療所の医師からの推薦であるカウンセラーなので、ヤブ、ではないはずだ。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る