第3話

「そうなのですね。」

 ふわり、と微笑する彼は真顔の時よりも若干、若く見えるので、実年齢はタクヤの29歳よりも年下なのかもしれない。

「それはタクヤさんにとって、この面談がもう必要ないかな、って感じていたということですか。」

 月島のその問いに一拍の間を置き、タクヤは小さくうなずいた。

 正直なところ、心療内科の医師にこのカウンセリングを紹介され訪った時よりも、今は良く眠れているし勝手に涙が流れ落ちるなんてことはない。あれだけ心の大半を占めていた理由のない不安感も、全くないといえば嘘になるが、随分と小さくなっている。

 敢えてそちらに目を向けることがない限り、理由のない不安が心に鎮座していることを、日常生活を送っている中で思い出すことも徐々になくなっていっていた。

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