ロボットとして
アポロははっとしたように、イネスを見た。
「エリーゼが
「イネス……」
「お払い箱とか、捨てられるって考えが、おかしいよ。僕らは人間を助けるためにいるんだから、アポロは誰かまた、ロボットを必要としている人間を、助けに行かなきゃ」
アポロとイネスは見つめ合ったまま、黙った。しばらくして、イネスが頭をかく仕草をしながら、声を発した。
「なんだか、偉そうでごめん。僕の方が若いのに。僕の方が若いし、アポロの方が出会いと別れをたくさん経験しているはずなのに、僕のほうが若いというのに、分かったふうなことを言ってしまって、ごめんよ、僕の方が」
「四回も言わなくて大丈夫です。イネスの方が私より80年も若いのは分かっています。……マスター・エリーゼが子供のころから今まで、私はお世話ロボットとして、彼女の一番近くにいましたから、どうやら情……というものが、生まれてしまったようです」
アポロはいつもの口調を取り戻した。
「エリーゼの父親が亡くなってから、店に出て働く母親の代わりに、アポロがエリーゼのお世話をしていたんだよね」
「そうです。マスター・エリーゼは子供のころから穏やかで聡明でした。穏やかでいて芯が強く、たおやかで、そのなかに可愛らしさもあり、ときにいじらしく……」
「話が長くなりそうだね」
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