アポロの不安

「おや、エリーゼ、あんたのロボットはご機嫌ななめだね。反抗期?」


 ミヤビがニヤニヤしながら言う。


「は、反抗期だなんて、そんなことは……」


 アポロは反論しようとして、途中でやめた。そんなことはない、という弁解に、偽りを感じたからだ。


 最近、アポロはなんだか胸のあたりがむかむかして、まわりに当たらずにいられなかった。イネスにも突っかかってしまう。アポロ自身、どうしてこんな気持ちになるのか、分からなかった。


 ミヤビとイネスが去ると同時に、ロボットを買いたいというお客がやってきて、エリーゼは対応に忙しくなった。アポロは忙しいエリーゼに代わって、奥でメンテナンスを終えたロボットがちゃんと動くかチェックしに行く。


 エリーゼが母親からこの店を受け継いで、それからずっと、アポロはエリーゼとともにこの店を守ってきた。


 それなのに。


 もしかしたら、もうすぐ、自分は。



 店が終わったころ、アポロはめずらしく一体で出かけることにした。

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