意味のない旅

「こいびと」


「とうけい」


「いせかいてんせい」


「いそう」


「うそつきはどろぼうのはじまり」


「りっぽうたい」


「いなごのつくだに」


「にっしんげっぽ」


「ぽんちえ」


「えんざんし」


「しゅっぱつ」


「つき」


「きょうは、どこまでいこうか」


「……かなりとおくまでいきます」


「すごいものが、みつかるかな」


「なんともいえません」


「アポロはしりとりが下手だね」


「わざとです。私たちが本気でしりとりしたら無限に続きますよ」


「そりゃそうだ。僕はそれで、ミヤビに可愛くない、って、怒られたことがあるよ」


「ミヤビ……イネスのマスターは、確かに、そんなふうに言いそうですね」


 アポロとイネスは出発した。あてもない旅へ。何の目的もない、本来必要のない、ただ、どこまでも、どこまでも、歩いていく旅。


 真っ暗で、何もない滅んだ星の上を、ただ歩く。無意味な行動を、ロボット二体はしていた。


「少しでもエネルギーを節約するために会話は控えたほうがいいかな」


「長々と話さなければ、大丈夫ですよ」


「よし、要領よく話そう」


「うまくやりましょう」


「うん」


「イネスの負けですよ」

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る