朝ごはん

「まずは食事です」


 アポロが言った。


 アポロとイネスは特に急ぐわけでもなく、ロボットのエネルギー貯蔵庫へ向かった。


 エネルギー貯蔵庫へは10分ほどで到着した。

 地球が朽ち果てても、この貯蔵庫は傷つくことなく、残っていた。地下にあったのがよかったのも知れない。


 エレベーターが動かないので、階段を使って二体は地下へ向かった。


「わわっ」

 

 前を歩く、アポロが躓いた。


「大丈夫? 気をつけて」


 イネスがアポロの腕を引っ張った。


「すみません。ありがとうございます、イネス」


「いいよ。アポロは僕よりだいぶ年寄りなんだから」


「事実ですが、容認できる発言ではありません」




 地下に降りた二体のロボットは、入り口の棚からそれぞれコップを取り出す。

 大きな地下室には、これまた大きな円柱形のタンクが鎮座していた。

 エネルギーは、特殊な金属で出来たこの巨大なタンクに入っていて、地球がまだ生きていたころ、さまざまなロボットたちに供給されていた。


 ロボットたちは自分で、まるでジュースのように、コップに液体のエネルギーを注ぎ、口から飲み込む。


「このエネルギー供給機が、手動でも動く仕様になっていてよかったです」


 アポロが自分のコップにエネルギーを注ぎながら、どこか沈んだ口調で言った。


「この貯蔵庫のエネルギーが切れたら、別の場所を探さないとね」


 イネスがエネルギーをぐいと飲み干して言った。「ああ、おいしい」


「私たちが、エネルギーを供給し続ける意味があるのでしょうか」


「さみしいこと言うね」


「すみません」

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