第13話 王都デビュー

ー 王宮の中庭 ー

 この日は,魔界歴102年12月30日だ。年末なのだが,この国は,新年を2月1日に大々的に祝う習慣がある。言ってみれば2月1日が新年と考えればいい。春節を大々的に祝うどこかの国のような感じだ。だから,この時期でも特に年末という新年を迎えるという慶びの雰囲気はなく,人々はいつものような日々を過ごしていた。


 ナタリーは,王都の中庭でやや遅い昼食をとっていた。簡単なパンとジュースだ。料理がにがてで,購買部で食料を購入して,王宮の中庭でのんびりと食事するのが日課だ。


 数日前に尊師が王立魔法大学院に戻り,彼から,弟子の千雪がS級冒険者55名を2,3秒で全滅させたことを聞いて,身の毛がよだった。


 その興奮が今でも残っている。『今頃,何してるのかしら?まだ4日しか経ってないけど,新しいご主人様の元でうまくやっているのかしら?』と,考えていた矢先のことだった。


 中庭の魔法陣が起動して,その千雪と若い男性が現れた。


 ナタリー「もしかして,サリー?」


 その声に千雪は反応した。

 

 千雪「ナタリーお姉さま,ご無沙汰しております。今は,千雪と名乗っております。千雪と呼んでいただくとありがたいです」


 ナタリー「そう?今は,千雪なのね。でも,ソバカスがすっかり消えちゃって。超美人さんになったわね。ちょうど,今,あなたのこと考えていたの。尊師から聞いたわ。あなた一人で,S級冒険者55名を2,3秒で全滅させたんですって!大臣側の謀略を,木っ端微塵にしてしまったのよ。もう最高に爽快だったわ。わははははははーーー」


 リスベルは,千雪がS級冒険者55名を2,3秒で全滅させたって,どうゆう意味かわからず,千雪に聞こうとしたが,ナタリーに妨げられた。


 ナタリー「ところで,一緒いいる人,もしかして,ルベットのところの子供じゃないの?名前はたしか,,,」


 リスベル「リスベルと申します。母のルベットがいつもお世話になっております」


 ナタリー「やっぱりね。数年前に1,2回見たことがあったけど,そうなの,大きくなったわね。もしかして,あなたが千雪の新しいご主人様なの?」


 千雪「はい。リスベル様が私のご主人様です。ところで,師匠は,今どちらにいらしゃるのですか?」


 ナタリー「尊師は,今,私の部屋で間借り中よ。相変わらず,魔法陣の研究しているわ。何の研究しているんだか,わかんないけどね。なんか,新しいテーマが見つかったって言ってたわ。ところであなた達,これからどうするの?」


 リスベル「ナタリーさんには,正直に申し上げます。実は,いろいろありまして,実家から勘当されました。場合によって,母は私を殺害するかもしれないのです。できるだけ早く,身を隠す場所を今から探す,という状況です。詳しいことは,聞かないでいただければありがたいです」


 ナタリー「あら,そう?でも納得できるわ。千雪は,魔界最高の暗殺者なのよ。千雪に関わる人って,みんなおかしくなって当然だわ。正常な精神ではやってけないわ。わっはははははははーーー」


 ナタリーは,豪快な性格だった。


 リスベルは,千雪の魔法能力をS級火炎魔法と初歩の回復魔法士とだけしか聞いてないが,ナタリーの話とかなり食い違っていた。


 今の話を聞く限り,千雪はSS級かそれ以上の可能性もある化け物だ。まあ,後でいろいと千雪に聞いてみればわかることだ。


 リスベル「ナタリーさん。では,私たちは,これで失礼します。もし,落ち着いたら,ナタリーさんのところに一度お邪魔させていただきたいと思います」


 ナタリー「そうね。ぜひあそびに来てね。じゃあね,ルベットに殺されないようにねーー」


 リスベルと千雪は,ナタリーから解放された。


 王宮を出て,王都の町を少し歩いてわかった。千雪があまりに美人すぎるので,人目につきすぎる。人目につかないわけがない! そこで千雪に仮面を買ってつけさせた。リスベルは,自分用にも伊達メガネをつけた。


 それで,やっと落ち着いて安価な旅館を探すことことができた。ややしばらくして,辺鄙な場所にある旅館を見つけた。そこで部屋を借りて休息した。


ー 辺鄙な場所の旅館,リスベルが借りた部屋 ー


 リスベルは,S級冒険者55名を2,3秒で全滅させた経緯を千雪に問いただした。


 千雪は,55名全員が無防備状態だったので,簡単に首をはねて全滅させることができたと簡単に説明した。


 リスベルは,そんな単純な話は信じなかった。


 リスベル「千雪!正直に言いなさい。お前のレベルは,もうSS級に達しているのか?」


 千雪「はい,達していると思います」


 千雪は正直に答えた。別に隠して得する話でもない。


 リスベル「そうか。55名ものS級冒険者が全滅したのに,そんなうわさが流れないのも,不思議な話だ。

 千雪は,55名もの冒険者を殺した暗殺者であり,ナタリーの言葉を借りれば,魔界最高の暗殺者ということになるな。そのレベルは,SS級かそれ以上かもしれん」


 それがわかったところで,リスベルのすることは変わらない。リスベルは,さっそく,千雪に裸になるように命じ,午前中と同じ行為を繰り返した。ただし,千雪に眠らされて,リスベルは夢の中で何度も千雪を抱いた。


 王都に来たその日は,夕食をデリバリーで取り,また奴隷の千雪の体を,夢の中でいためつけた。


 リスベルは,千雪の美しい胸をなんども虐待したつもりなのに,いつも,すぐに元の美しい胸に戻っている。


 リスベル「千雪,いつの間に胸を回復させたんだ?」

 千雪「わたし,回復魔法が得意なので,すぐに回復してしまいます。 そんなこと,いちいち気にしなくていいです」

 リスベル「そうか?」


 リスベルは,ちょっと不思議に思ったものの,それ以上気にするのは止めにした。

 

 リスベルは,夢の中では,千雪の体のあらゆる所をつねったり,胸を握りつぶしす行為を何度も行い,お尻も5本の爪を立てて握りしめ,陰部へも無理やり手首まで入れようとしたりと,やりたい放題だった。


 王都に来て,その日の午後3時から旅館の部屋にいるのだが,食事の時も,部屋から出ることをせず,デリバリーで過ごした。


 リスベルは,食事と睡眠以外のすべての時間をかけて,千雪を休めることなく,拷問・虐待し続けた。いや,そのつもりだった。その都度,千雪に夢の中に引きずり込まれていった。


ーーー

 王都に来て2日目,リスベルは,相変わらず千雪を夢の中で抱いて,彼女の体を虐待した。夢の中では,千雪は,どんどんと巨乳になっていくのに,翌朝,目覚めると,元のDカップの無傷な胸に戻っていた。


 リスベルは,何かおかしいと感じつつも,この奇妙なデカダン的な生活を1週間ほど続けた。


 だが,そんな甘い生活は長くは続かなかった。とうとう路銀の尽きる日が来た。


 リスベル「千雪,金がなくなった。金を稼ぐ必要がある。金をすぐ稼いでこい」


 千雪「では,職業紹介所に行って仕事をしてきます」


 リスベル「それはだめだ。身元がばれる。以前,千雪が拒否した命令をもう一度する。男と寝ろ!路上で男を引っ掛けて,男と寝て金を稼げ」


 千雪「お断りします」


 リスベル「じゃあ,男をつれて来て,男の前で裸になれ。裸を見せるだけでも,金を稼げるだろう。お前は美人だし,Dカップのちょっとだけ巨乳だ。人に見せるには,,,まあぎりぎりOKだ。千雪は覆面をすればいい」


 千雪「お断りします」


 リスベルは,やけっぱちになって言った。


 リスベル「千雪!!じゃあ,なんでもいいから,身分をいっさいばらさずに,お金を稼いでこい!!しかも,30分以内にだ!俺は1人でいるのは好かん。30分が限界だ!」


 千雪は,しばらく考えて言った。


 千雪「分かりました」

  

 千雪は,一週間,裸体のままだったが,久しぶりに服を着ることになった。


 Dカップの胸にサラシを巻いて,いつものジャージを着て,仮面をつけた。


 千雪「リスベル様さん,ではお金を持ってまいります」


 千雪は部屋を出た。

 

 それから,10分過ぎたころ,千雪が戻ってきた。千雪はリスベルに金貨20枚,銅貨15枚を渡した。ざっと21万5千円だ。


 リスベルは,ニタッと笑った。


 リスベル「千雪!!よくやった。もっと,人通りの多い場所のほうがよいか?」


 リスベルにはすぐにわかった。千雪には,天才的なスリの才能があった。千雪に新たな才能を見出した。


 千雪「はい。もっと時間を短縮できます。リスベル様を寂しく待たせる時間も,1,2分で済みます」


 リスベル「そうか,1,2分でいいのか,,,では,人通りの多い繁華街の旅館に変更する。千雪は,もっと目立たない服装と,肌色の仮面も必要だな。途中でそれらも準備しよう」


 リスベルと千雪は,この辺鄙な旅館を引き払い,繁華街の旅館に拠点を移し替えた。その道すがら,目立たない服,仮面,さらに千雪をいためつける鞭,棒,挟む力の異常に強いクリップ,針なども忘れずに購入した。ついでに,テイクアウトの食料も確保した。


 時間は,すでに午後になっていた。



ー 繁華街の旅館,リスベルが借りた部屋 ー


 リスベルは,まず,千雪に目立たない服装に着替えさせて,肌色の仮面をつけさせた。髪の形はもともと短髪なので,細工する必要はない。

 

 リスベル「まず,5分以内に,お金を稼いでこい」

 千雪「はい」


 千雪は,部屋から出ていったかと思うと,5分たらずで戻ってきた。金貨40枚と銅貨10枚を稼いだ。リスベルは,その金を見て,嬉しさのあまり,叫びそうになった。『これはいい,天国だ。この世の春だ。一ヵ月後に死んでもいい』とさえ思った。


 お金は人を変える。人格さえも変えてしまう。リスベルも人格が変わった。もう,王族という,道徳心は消え失せた。同時に,罪の意識も消えた。千雪に命じれば,何でも叶うのだ。そう,何でもだ。


 まずは,この新しい旅館で,新鮮な気持ちになって千雪を抱くことから始めるのが王道だ。リスベルは,早速,千雪に命じた。


 リスベル「千雪,裸になってベッドに横になれ」

 千雪「はい」


 千雪はその通りにした。リスベルは,いつもように千雪の美しい胸を揉んだ。


 1分経過,,,2分経過,,,3分経過,,,


 リスベルは,まったく意識を失わずに,相変わらず,千雪の胸をモミモミして悦にいっていた。リスベルが,いつもの夢の中でする次の行動に移ろうというとき,千雪は,リスベルを押し倒した。


 ドーーン!


 リスベルは,2メートルほど飛ばされて尻餅をついてしまった。


 リスベル「なんだ? 千雪! 気でも狂ったのか?!!」


 千雪は,SS級を超える自己最大限の霊力を駆使した精神支配をリスベルに施しても,まったく効果のないことを知った。リスベルは,とうとう千雪の精神支配に対して完全免疫を持ってしまった。


 千雪は,ゆっくりと起き上がって,胸にサラシを巻いて,下着をつけて,ジャージを着た。


 千雪「リスベルさん,とうとう,茶番劇も終わりが来たようです。わたしのリスベルさんへの精神支配はもう効かなくなりました。リスベルさんは,もう,夢の中でわたしを抱くことができなくなりました。夢の終わりです」


 リスベルは,一瞬,状況が理解できなかった。だが,『精神支配』と聞いて,すぐに状況を理解した。これまでの夢の中の世界と,現実の世界のギャップに,やっとリスベルは気がついた。


 リスベル「なんだと? じゃあ,俺が千雪を抱いたり虐待した行為は,すべて,千雪! お前が俺に精神支配した結果なのか?!」

 千雪「はい,さすがはリスベルさん。理解が正確です」


 リスベルは,全身がワナワナと震えた。自分が,千雪よりも強者であったなら,千雪を何度も殴り倒していただろう。でも,弱者であるリスベルには,何もできないのが悔しい!!


 一体,何のために,この平行世界を構築してきたのか!! 千雪を夢の中で抱くことではない!!


 でも,過ぎたいことをグチグチ言っても始まらない。まだ,1週間しか経っていない。今からでも,夢の中の行為を,現実世界で行えばいい。千雪は,まだリスベルの奴隷だ。なんとかなる!


 リスベル「もういい。過去のことはもういい。今からでも,俺の言うことを聞けばいい。裸になってベッドに横になりなさい!」

 千雪「いやです」

 リスベル「お前は,俺の奴隷なんだぞ! 俺の言うことを聞け」

 千雪「奴隷契約したのは覚えています。でも,奴隷にだって,休暇は必要です。今からわたし,休暇に入ります。リスベルさんもひとりで生活していけばいいでしょう。では,さようなら」


 宣誓契約での最大の欠点,それは,認識の不一致が生じた場合,意味のない契約となる。千雪がいみじくも奴隷に休暇が必要と言ったことに対して,いくらリスベルが,奴隷に休暇はないと叫んでも,なんら宣誓契約違反にはならない。

 

 千雪は,さっさと部屋から出ていこうとした。すると,リスベルが慌てて,千雪の足元を掴んだ。


 リスベル「待て!千雪!話がある。俺の話をまず聞け!せめて30分,ここにいろ!いや,居てください! お願いです!!お願いです!!」

 

 リスベルは,丁寧語に切り替えて,千雪に懇願した。千雪は,30分くらいならいいだろうと思った。


 千雪「リスベルさん,わかりました。30分だけ待ちましょう」


 千雪は,ベッドに座って,出発を引き延ばした。


 リスベル「千雪! なんで,ここから出ようと思ったのですか?わたしとの生活はイヤですか?」

 千雪「休暇を取るためです。休暇は半年くらいでになるでしょう。それに,半年後には,どんな気持ちになっているかわかりませんんが,今の気持ちのままなら,確実にリスベルさんの命をいただきます」

 リスベル「・・・」


 リスベルにとって,今,千雪を失うことは,死ぬことに等しい。なんとしても,一緒にいてもらわねばならない。リスベルは,最大限の頭脳を働かした。そして,得た結論は,リスベルと一緒にいると,大きなメリットになることを知らしめることだと思った。そのメリットは,,,


 リスベル「千雪! 大魔法士になりたくはないですか? 未知の魔法陣を勉強したくはないですか?」


 リスベルのこの『大魔法士』という言葉に,千雪は心が少なからず動いた。


 千雪「大魔法士?」

 リスベル「そっ,そうだ。大魔法士だ。SS級を超える,超がつくほどの魔法士だ。わたしには,これまで研究してきた魔法陣の知識がある。それを千雪に教えてあげよう。千雪は,超すごい魔法士,つまり,大魔法士になれるぞ。いいだろう。だから,少しでいい。少しでいいから,わたしの言うことを聞いてくれ。わたしと寝ることがイヤなら,それで構わない。代わりに千雪が納得する命令だけを聞けばいい。どうだ?いいだろう?」


 千雪は,それなら,しばらくはリスベルの傍にいてもいいかもと思った。


 千雪「じゃあ,先に,その魔法のいくつかを先に教えてください。その内容を次第で休暇を取りやめてもいいわ」

 リスベル「わかった。じゃあ,千雪に預けたわたしの荷物を出してくれ」


 千雪は,精霊の指輪の亜空間に収納したリスベルの荷物を,この部屋に出現させた。リスベルは,その中なら自分の研究ノートを取り出した。ペラペラとめくって,すぐに必要となりそうな魔法陣をピックアップした。


 リスベル「では,2種類の魔法陣を教えましょう。1つ目は記憶消去魔法陣,そして,2つ目はセンサー感知式魔法陣だ」


 リスベルは,この2種類の魔法陣を,千雪に詳しく説明していった。千雪も,その説明に聞き入って,すぐに魔法陣の暗記をした。


 リスベルは,千雪がこれらの魔法陣に魅入ったことを知った。


 リスベル「千雪,,,その覚え立ての魔法を実際に試してみないか?」

 千雪「え?どうやって試すの?」


 リスベル「そうだな,,,例えば,,,若い巨乳の女性をここに連れてきて,2,3時間,記憶を奪うのはどうだ? それに,若い女性でも,いたずらされると,魔法攻撃をするかもしれない。そこで,長時間有効な魔法攻撃無効化結界が必要になる。でも,そんな大量の魔法など現実的ではない。そこで,センサー感知式魔法陣が生きる。本来,1,2分しか有効でない魔力攻撃無効化結界が,見かけ上,何時間も有効にさせることができるようになる。千雪,早速試してみないか?」


 千雪は,ニヤっと微笑んだ。


 千雪「それって,わたしに若い巨乳の女性を騙して連れて来いってこと?」

 リスベル「まあ,そういうことだ。魔法陣の効果を試すいい機会になる。わたしも,その女性にいろいろいたずらできるし,,,」

 千雪「・・・」


 リスベルには,千雪に,どうしても試したことがある。夢の中で実現したこと,つまり,千雪の胸をもっと大きくすること! でも,ストレートに千雪に命令すれば拒否されるだけだ。でも,大きくすることによるメリットを与えれば,千雪は自ら望んで巨乳になるはず!


 リスベル「それと,千雪,月本国で大ヒットした『失敗しない男医,ドクターH』のドラマを知っているか?」

 千雪「もちろん知ってるわよ。特にまったく傷跡を残さない豊胸手術は圧巻でした」

 リスベル「そうそう。この国でも豊胸手術は流行しているんだ。いろんな方法があって,外科手術だけ行う方法や,魔法との合わせ技術,もしくは魔法だけで行う方法とかね」

 千雪「・・・,前もって言っておくけど,わたし,胸,大きくしないわよ」


 リスベル「千雪,巨乳になるメリットに目を閉じてはいけない。

 まず,第1に,金儲けに繋がる。男に体を委ねることなく,ただ見せるだけで金を稼ぐことができる。

 第2に,脂肪が多くなるから低温に強くなり,風邪も引きにくくなる。つまり健康体に変化することを意味する。

 第3に,餓えにも強い。この不確実性の時代,いったい何が起こるのかもわかったもんじゃない。いつ何時,食糧危機に陥るかもしれない。そんな中で唯一生き残れるのは巨乳だけだ。

 さらに,さらに,第4に,決定的なのが,男にもてる!!」

 千雪「・・・」


 リスベルは,一呼吸置いてもう一度,要点を言った。


 リスベル「千雪,もう一度言う。犯罪行為することなく金儲けができ,健康体にもなり,餓えにも強く,そして,男にもてる! 千雪,どうだ? 巨乳になってみないか?」

 千雪「そっ,そうね,,,巨乳にそんなにメリットがあるなんて思ってもみなかったわ。それなら,,,なってもいいかな? でも,手術を受けるのイヤだわ」


 リスベルは,ニヤッと微笑んだ。なんだかんだいって,千雪は脳足りんだ。


 リスベル「おれは,例の『失敗しない男医,ドクターH』のドラマを,月本語学習のために何度も見た。そのせいで,完璧に豊胸手術ができる男なんだ。他人の脂肪を千雪の胸に移し換えるだけのことだ。傷口は回復魔法で直せばいい。そこは,千雪の回復魔法でも大丈夫だろう?」

 千雪「そうね。それくらいなら,まったく問題ないわ」

 

 リスベルは,最後の仕上げに入った。


 リスベル「千雪,奴隷契約した以上,お前は俺の奴隷だ。でも,奴隷であっても,有能な奴隷なら,俺と対等に話し合えるパートナーにだってなれる。千雪,お前がそうだ。千雪は,俺の奴隷であるが,同時に対応に話し合えるパートナーだ。お互いの利益を共有するパートナーだ。そのお互いの利益のために,俺はお前のために動くし,お前も俺のために動け」


 千雪は,徐々にリスベルよって洗脳されつつあった。


 千雪「対等のパートナー,,,なんかいい響きね。なんか,わかった気がするわ。それって,リスベルさんは,わたしに命令するけど,わたしもリスベルさんに命令できるってこと?」

 

 リスベルは,一瞬,言葉に詰まった。だが,ここで否定していてはダメだ。いったん,肯定してから,徐々に『命令』を『依頼』に変えていけばいい。


 リスベル「そうだ。千雪も俺に命令していい。でも,あれだ。俺は,あくまでも千雪の主人であり,千雪は俺の奴隷だ。その関係は崩れない。だから,千雪は,『命令』というより,『依頼』という形にしてほしい。俺は,千雪の依頼なら,なんでもするつもりだ。これなら,いいだろう?実質,命令と同じことだし」


 千雪はリスベルの説明に納得した。

 

 千雪「そうね,わかったわ」

 リスベル「よし! 千雪! では,お前の新しく覚えた魔法の実験台として,お前の巨乳になるための材料として,美人で若くて巨乳の女性をこの部屋に連れてきなさい。お前の体の一部になる女性だ。だから,千雪並みの美人でないとダメだよ」

 千雪「りょうかーーい!では,行って参ります」

 リスベル「できるだけ30分以内に連れてきなさい」

 千雪「任せておいてちょうだい」


 千雪は,上機嫌でこの部屋を出ていった。

 

 千雪は,スリをしながら,美人巨乳を探した。王都は,全国から美人が集る。もちろん,巨乳などスタイル抜群の女性たちも,一攫千金や玉の輿を夢見て王都に集まる。


 千雪は,吟味に吟味して,自分ほどではないにしても,相当の美人でそこそこ巨乳の女性を見つけて声をかけた。


 千雪「私,田舎から旅行に来たんですけど,両親に無事に王都に着いたって伝えたんです。でも字が書けなくて,代わりに書いてくれませんか?私の泊ってる旅館,すぐそこなんです。少ないですけどお礼に,金貨1枚さしあげます」


 千雪は金貨一枚をその女性に渡した。その女性は,金貨を受け取って言った。


 女性「あら?こんなにもらっていいの?わるいわね」


 その女性は,千雪の口車に乗って,のこのこと千雪についていった。その女性は,部屋に入るやいなや,声を『あっ』とあげようとした。


 その部屋には男性がいた。しかし,その女性は声をあげることはできなかった。千雪によって,すでに声帯部分を霊力の流れによって麻痺させていた。


 それだけではない。彼女の両手,両足に霊力が流されてしまい,筋肉の大部分が麻痺状態にされてしまった。決して,動かせないわけではないが,スローモーションのような動きしかできない状態にされた。


 その女性は,危険を感じで中級の火炎魔法を発動しようとした。だが,千雪によって後頭部を打たれて気絶した。


 千雪は,倒れた女性をベットに運んだ。


 リスベル「千雪,よくやった。相当の巨乳美人だな。さすがは,俺のパートナーだ。でかしぞ,千雪!」

 千雪「はい!」

 リスベル「では,早速,覚え立てのセンサー感知式魔法陣を使ってみなさい。魔法攻撃無効化魔法陣との連結を忘れないように」

  千雪「了解でーす」


  千雪は,センサー感知式魔法陣と魔法攻撃無効化魔法陣を,ベッドから1メートル上空の部分に出現させて,それらを連結させた。


 シュー――ー--!


 連結されたセンサー感知式魔法陣と攻撃無効化魔法陣が発動して,その女性の体全体に結界が覆った。


 この結界は,100%の結界ではない。1%の結界だ。ひとたび魔力を感じると,すぐに100%になって,魔法攻撃を無効化する。そのため,見かけ上,何時間も有効な結界が発動しているようにみえる。


 リスベル「千雪,豊胸手術には準備がかかるから,しばらくスリでもして過ごしなさい。2間後にここに戻ればいい」

 千雪「了解でーす。どこかレストランで食事でもしてきますね」


 千雪は,ニコニコにながら部屋から出ていった。


 リスベルは,気絶した巨乳美人に,往復ビンタを食らわして,意識を取り戻させた。彼女は,ゆっくりと目を開けた。


 リスベル「美人のお姉さん。声は出ないよ。それに,手足も麻痺させている。あきらめなさい。私の命令に従いなさい。そうすれば生きて帰れる。理解したかな?」


 その女性は,首をよこに振った。


 パチーン!パチーン!


 リスベルは,その女性に再度,往復ビンタを食らわした。


 リスベル「もう一度いう。私の命令に従いなさい」


 彼女は,中級の火炎魔法を使おうとして,両手をなんとかゆっくりともちあげて,リスベルに向けて火炎を発射しようとした。


 フッ!(手の平に集まった魔力が消滅する音)


 彼女の魔法は,完全に無効化されてしまった。彼女は驚きの顔をした。


 リスベル「この部屋で魔法は効かないよ。最後に,もう一度いいます。私のいうこと聞きなさい。そうすれば,無傷で家に帰してあげます。でも命令に従わない場合,すぐ死ぬことになります」

 

 その女性は観念することにした。なんせ魔法が効かないのだ。やむを得ない。彼女は,ゆっくりと首を縦に振った。


 リスベル「ものわかりが良くてよろしい。肉体的な痛みを加えるが,がまんしなさい。回復魔法できれいな体で返してあげます」


 彼は,やっと,夢の中ではなく,現実の世界で思い通りのことができると嬉しくなった。もっとも,それは,千雪ではなく,別の女性になってしまったが,,,


 でもでも,彼は,超うれしくなって,夢の中で千雪に対して行った行為を,その彼女に施していった。まもなく,彼女は,苦痛のあまり失神してしまった。


 2時間後,,,


 千雪が部屋に戻ってきた。


 リスベルは,スッキリした顔で千雪を迎えた。

 

 リスベル「ちょうどよかった。これから彼女に乳房縮小手術を行う。千雪,手伝いなさい」

 千雪「はい」

 リスベル「メス!」

 千雪「はい!」

 リスベル「ピンセット!」

 千雪「はい!」


 あらかじめ用意したトレイには,どんどんと摘出された脂肪組織が蓄えれていった。彼女のFカップほどあった胸は,みるみるとAAカップほどに縮小していった。


 リスベル「彼女の胸に回復魔法をかけなさい」

 千雪「はい!」


 千雪は,彼女の胸に回復魔法をかけて,切り刻まれた胸の皮膚を融合させた。それに伴って出血も止まった。


 リスベル「千雪,では,裸になって彼女の隣で横になりなさい。千雪に豊胸手術を行う」

 千雪「はい!」


 千雪はその通りにした。リスベルは,ビデオ通りに,的確に千雪の乳房の中に,さきほど摘出した脂肪組織を挿入させていった。


 リスベル「よし!千雪,自分の胸に回復魔法をかけなさい」

 千雪「はい!」


 千雪は,自分の胸に回復魔法をかけていき,メスで切り開かれた部分を完全に融合させた。


 千雪の胸はDカップから,いっきにGカップほどの巨乳に変化した。乳房の大きさで言えば,片方の乳房で1リットルほどにもなった。


 千雪への豊胸手術は成功した。もっとも,他人の脂肪組織を乳房にの中に挿入させるだけで難しいことは何もない。


 リスベル「千雪,では,彼女に記憶消去魔法陣を起動しなさい。ここ数時間の記憶を消去してみなさい」

 千雪「はい,では,試してみます」


 千雪は,記憶消去魔法陣を発動させて,彼女からこれまでの数時間分の記憶を消去させた。


 千雪「記憶消去魔法陣は,正常に発動したようです。でも,この魔法は,永遠に記憶を消せるのでしょうか?」

 リスベル「いや,一時的なものだ。せいぜい1,2ヶ月といったところだろう。でも,それだけあれば充分だ。よし,千雪,お前は,覚え立ての魔法をしっかりと使えるように,何度も実践する必要がある。それに,もっと巨乳にならないと,そのメリットを享受できない」

 

 そこまで言って,さすがに千雪は,次に何をするかが分かった。


 千雪「はい,2人目の巨乳美人を連れてくればいいのですね?了解です。では,この彼女に服を着せて,意識のないまま適当に町のどこかに置いてきます。そのうち,目覚めるでしょう」

 リスベル「千雪,物わかりがいいな。そうだ。よろしく頼む。お前は,俺の奴隷であるのと同時に,対等のパートナーだからな」

 千雪「はい!」

 

 リスベルは,「俺の奴隷」という部分は,特に強調して言った。

 

 千雪は,彼女を抱きかけるように部屋から連れだして,旅館の外にでた。彼女は,適当にひと目のつかない場所に,その彼女を横たわらせて放置した。


 その彼女は,それから10分もしないうちに意識を取り戻した。 


 彼女「あれ,なんで,わたし,ここにいるの??それに,こんな時間にいるの?おかしいわね??」


 その彼女は,どうしても思い出せなかった。彼女は,ふと,自分の胸がほとんど無くなっていることにビックリした。


 彼女「えええーー? 胸が,,,なくなっているー?!」


 彼女は,慌てて知り合いの医師のところに駆け込んでいった。その医師が彼女の胸を詳細に調べたところ,乳房縮小手術を受けた痕跡のあることを発見した。


 医師「どうやら,どこかで乳房縮小手術を受けたようだ。心当たりはないのか?」

 彼女「いいえ,まったくないです。今日の昼までは,ちゃんと胸がありましたから」

 医師「ということは,記憶のない数時間の間に,乳房縮小手術を受けたということか,,,でも,,,全身を詳しく調べたほうがいいな」


 その医師は,彼女の全身を詳しく調べていった。その結果,男性経験のない彼女ではあったが,あきからにレイプされた痕跡のあることが判明した。しかも,かなり乱暴にレイプされたようだ。


 その医師は,診断書を詳しく書いて,それを渡した。


 医師「その診断書を渡します。もし,訴えるつもりなら,衛兵隊のところに行って訴えてなさい」

 女性「・・・,先生なら,どうしますか?」

 医師「正直いうと,わたしが女性で,あなたの立場なら,泣き寝入りすると思う」

 女性「え? どうしてですか?」

 医師「相手は,相当高度な魔法を使うと思っていいし,衛兵隊に捕まらないと思って,このような犯行をした。そんな相手に対して,ろくに仕事もしない衛兵隊に泣きついたところで無駄だろうし,結局,記憶のないあなたに,不利な状況になるだけだと思う。

 わたしは,さほど魔法に詳しいわけではないが,記憶を消せる魔法があったとしても,それは一時的なものだと思う。それなら,記憶が回復してから,衛兵隊に訴えるほうがいい」

 女性「確かにそうですね。記憶がないのは致命的ですね,,,はい,そのアドバイスに従います。記憶が戻ってから訴えることにします」


 彼女は,気持ちの整理をしつつ,記憶の回復するのを待つことにした。


 

 その日,リスベルと千雪は,2名の巨乳美人を毒牙にかけた。しかも,2人目は,今も,全裸で,乳房縮小手術を受けてベッドで横になっている。ちなみに,その結果,千雪の胸は,GカップからIカップになってしまった。


 リスベルが,彼女を放り出しなさいと命じたものの,千雪は拒否した。超スッキリして自分の欲望の100%を発揮し尽くしたリスベルは千雪に尋ねた。


 リスベル「え?なんで放り出さないんだ?」

 千雪「夜は長いです。それに,リスベルさん,独り寝は寂しいでしょう? 彼女と添い寝すればいいと思いますよ」

 リスベル「お前がいるだろう」

 千雪「わたしは妊婦ですし,リスベルさんと添い寝はできません。それに,夜の時間は霊力の修行に当てたいですから」

 リスベル「・・・」


 リスベルは,グッと我慢した。ここは,ゆっくりと千雪を攻め落とせばいい。焦りは禁物だ。


 リスベル「わかった。千雪の言うとおりにしよう。ところで,今日の稼ぎはいくらだ?」

 千雪「金貨200枚を少し超えました」

 リスベル「そうか。それはでかした。この王都の郊外に一軒家がある。そこを借りるのに,金貨500枚が必要だ。あと,金貨300枚,慌てなくいいから,稼いでほしい」

 千雪「一軒家ですか。いいですね。了解です。あと2日もあれば可能でしょう」

 リスベル「よし,期待しているぞ」

 千雪「はい」


 リスベルは,千雪とラブラブしたいものの,じっと我慢した。代わりに胸を無くして意識のない女性を弄ぶことでその長い夜を過ごした。


 ーーー

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