第23話 (10/3) フェリン as Messenger

「お二人のような霊魂が最初に果たさなければいけない重要な任務は、ご自身の人生を天界から再生し見守ることです」


 見習いは言った。可愛い顔が真剣になっている。


「そしてここが大事なのですが、ただ見守るだけではなく、時には生前の自分を含めて地上の方達に介入していただき、物理的、精神的に守ってやることが必要です」


「そんな事ができるの!?」


 サラが叫んだ。


「本人の心に接触する手段があります。間接的にですが」

「間接的ってどういう意味?」

「はい。天界には地上の方達とコンタクトできる仲介役がおります」

「仲介役ですか?」

「はい。ここでサラさんとショウさんの仲介役を紹介します。フェリン、来てください」


 見習いがそう言うと、どこからともなく鳥くらいの大きさの小さな子が飛んできて空中に浮いていた。たぶん女の子。


「みなさんこんにちは。フェリンです。よろしくお願いします」


 可愛い羽根が生えていて、とても小さい。どう見ても妖精である。

 ショウが呟く。


「妖精だよね?」

「そのカテゴリーに入るかもしれませんが、彼女もあなた達と同様、人間由来の守護霊ですよ」


 見習いは、周りを浮遊するフェリンとじゃれ合いながら続ける。


「彼女は霊界と地上の人間をつなぐメッセンジャーですね。地上のさくらさん達の深層心理に働きかけることができます」


「私達が伝えたいことをフェリンが地上の私たちに伝えてくれるの?」

「はい、そうです。本人達は伝えられたことを認識していませんが、心の奥底に伝わります」

「ふーん」


 見習いはにこりと笑った。


「私とサラさん、ショウさん、そしてフェリンで、これからさくらさんと翔真さんの人生を再生しサポートしていきます」

「人生をもう一度やり直すってことかな」

「まあそうです。あなた達の人生のリトライということになります」

「僕らにしてみると過去を改善するということになるね」


 ショウがそう言うと見習いがショウとサラをじっと見つめて言った。


「一番大事なことは、地上で生きている人達本人の気持ちです。現在と未来をどう改善するかという前向きな気持ちです。それまでの人生がどんなであっても、何歳になっていても、不運が重なってきたとしても、その人の気持ち次第で、再びトライし何かにチャレンジできます。良い方向への変化を掴み取ることができるんです。私達が出来ることはそれに気づかせてサポートするだけです。あくまでも自分の人生を改善するのは本人達自身なんです」


 地上の本人がどう考えるかが最も大切だということは理解した。


「何となく概要はわかりました。でもサポートするって言っても具体的にどうすればいいんですか? 例えば私、さくらにもっといい人生を送ってもらうには?」


「はい。私が都度指導いたします。私はさくらさん達の人生を既に予習して把握していますし、その都度シミュレーションもできます。これが一番の武器になります。お二人には私の指導、アドバイスに従って、計画を練ったり、フェリンを経由して地上のさくらさん、翔真さんにアクセスしたりしていただければ結構です」


 見習いはタブレット端末をさくらに見せ指さした。


「こちらが今天界で最新の機材になります。前々からマスターにねだっていて、この前ついに手に入れたんですよ。シミュレーションの他にも色々な機能がありますので期待していてくださいね」


「とても死後の世界とは思えないな。その端末どこで作っているんだ?」


 ショウが独り言。

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