視えてるらしい。

お祝いの人形。

　ある男性が、人形を貰ったという。

「あなた、子供いるんでしょ。お祝い（・・・）にあげる」

　そう言って、人形をくれたらしい。

　人形とは言っても、日本人形やフランス人形、ビスクドールなどではない。

　某有名な、アメリカの教育番組に出て来るキャラクターの人形を二体。四十センチ程もあり、大きめで輸入品の、少々お高めの人形を・・・

　某番組のキャラクターは見る人に拠って、可愛いかどうかは賛否両論に分かれるデザインだと思う。一部の人には、怖いという意見もあるそうだが・・・

　その人の子供（・・）も、その人形を見るなり怖がって泣いたそうだ。その人も最初は、キャラクターのデザインを怖がって泣いていると思ったらしい。しかし、奥さん（・・・）もその人形自体を不気味に思ったという。

　けれど、折角（せっかく）の貰い物、それも少々高めのモノなので捨てるワケにも行かない。だから、暫（しばら）く子供が見えない場所に保管していたそうだ。

　しかし、子供は隠されている筈（はず）のその人形を怖がったという。そして、奥さんと子供は段々と体調を崩した。

　もしかしたら、『あの人形のせいかもしれない』なんとなくそう確信した奥さんは、親類に人形を見せようと思った。

　そして、人形を持ち上げると・・・急に貧血を起こして、くらりとしたそうだ。

　それから、貧血でふらふらしながらも、どうにか親類の家までその人形二体を持って行ったという。

　すると・・・親類の女性達（・・・）は皆、その人形を見て気味が悪いと言い、触れると貧血を起こしたそうだ。

　結局、その人形はよくないモノなのでは？　という結論に至り、お寺に持って行ったそうだ。

　そして、その後に発覚したこと。

　子供がいるからお祝い（・・・）。そう言って、人形をプレゼントした人は、男性の元カノだったという。

　人形を不気味だと言い、触れて体調を崩したのは、全員が（・・・）女性（・・）だったそうだ。

　元カノのよくない（・・・・）モノ（・・）が二体の人形に籠（こも）っていたのだろうか？

　その男性と、元カノがどうなったかは知らない。

　ただ、男性は奥さんと数年後に別れたそうだ。