◆#6 ヘンタイ女子の種崎さん

 お昼は食堂で済ませ、また午後の授業を受けていく。

 俺はもちろんFC1を覗いていた。

 なにかないものか。

 ないものだな……。


 結局、なんの成果も得られず放課後を迎えた。

 種崎さんの姿はない。どこかへ行ってしまった。でも、俺と一緒に帰ってくれると言っていたし……しばらく待つか。


 気長に待っていると珍しくクラスの女子が話しかけてきた。



「あの、新谷くん」



 このギャル系女子は確か、えーっと……月見さんだったかな。妙に派手だから覚えていた。そういえば、種崎さんともよく話しているところを見る。


「なんだい……?」

「最近、亞里栖ありすと仲良いよね」

「亞里栖?」

「種崎のことよ。種崎たねさき 亞里栖ありす


 ……そ、そうだった。そんな可愛らしい名前だったな、種崎さんって。

 いつも苗字で呼んでいるから忘れていたよ。


「ダメなのかい?」

「そういうわけじゃないけど、突然だな~って感じて」

「たまたまだよ」

「そ、その怪しい関係とかじゃないよね!?」

「……どんな関係だよ」

「だよね」


 いや、実際そういう関係ですけどね。

 さすがに口が裂けても言えない。

 これは種崎さんの希望でもあるのだから。


「月見さんこそ、種崎さんと仲良いよな」

「まあね。亞里栖とは小学校からの付き合いだから」

「ほーん。それで心配なんだ」

「なんか危なっかしいというかね。……ていうか、最近は秘密が多いような気がして」


 めっちゃ心配されてるな。その秘密、俺は知っているけどな。


「大丈夫。俺が監視しておくから」

「うん、助かる。亞里栖、昔から変な男についていっちゃうからさ~」


 昔からそうだったのかよ!

 本当に危なっかしい人だな。

 こりゃ、俺が正しい方向へ導いてやるしかないのか……!?


「了解」

「じゃ、先に帰るよ。亞里栖によろしくー!」


 ブンブンと手を振って月見さんは行ってしまった。元気いっぱいだな~。良い匂いもした……。


 少ししてようやく種崎さんが戻ってきた。



「お待たせー」

「どこ行っていたのさ?」

「ごめんね。ちょっと部活を辞めようかなって退部届を出してきた」


「へ……?」


「水泳部だったんだけどね」

「そうなのか。好きで入ったんじゃ?」

「それがね~。男子がいるかな~って思ったんだけど、女子しかいなくて」


 どういうことだ?

 誰か狙っている人でもいたのだろうか。……むぅ。だとしたら面白くないぞ。


「…………」

「え~、新谷くん。まさか膨れてる?」

「まあな」

「でも、いなかったから安心して」

「目的はなんだったんだ」

「いやー…。わたしをいやらしい目で見てくれる男子がいるかなーって」


 ヘンタイかよ!!

 やっぱり、種崎さんってどこかネジが飛んでいるな。エロいことに寛容すぎる。こんな美少女でウェルカムは珍しいのではないだろうか。

 いや、そうでなければFC1のあんな動画なんて実在しないわけだ。


「特殊性癖かな」

「そうかも!」


 そんな堂々と!?


「教室でする会話じゃないな。帰ろう」

「そ、そうだね。誰かに聞かれたら恥ずかしいや」


 ホントね。

 教室を出て――学校を去った。


 種崎さんの方から手を繋いできて、俺はびっくりした。こ、こんな恋人みたいなことをしてくれるだなんて。


「どうしたのさ」

「……今日も新谷くんの部屋でするんでしょ……?」

「き、期待しているのかよっ」

「…………」


 こくこくとうなずく種崎さん。……こんな早く落ちるとは思いもしなかった。なにがそんなに刺さったのか分からん!


 だが、彼女が特殊なヘンタイ女子ということは分かってきた。

 うん。悪くない。

 俺はこういう一見清楚だけど、実は肉食系なのが大好物なのだ。



「まあ、昨日は0.3秒で果ててしまったからな」

「でしょ! アレはないし、リベンジしなきゃね」


 そうだな。もっと長時間耐えられるようがんばらねば。種崎さんを満足させられるように、俺も成長しなければならない。

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