◆#3 童貞卒業

 生まれたままの姿の種崎さんを目の当たりにし、俺は大興奮だった。

 その様子をスマホを使って動画撮影もしていく。


「いいね、種崎さんがこんなヘンタイだとは思わなかったよ。俺も動画投稿してもいいかな?」

「そ、それは辞めて……」

「え? FC1に投稿されているのに?」


「そ、それは…………」

「冗談だよ。そんなことしたら俺が捕まってしまう。でも、今投稿されているヤツは結構ヤバいんじゃない?」


「あれにはカラクリがあってね。海外で撮影して海外から投稿しているから大丈夫なんだって」


 聞いたことがある。海外からならギリギリセーフだと。まあ、かなりグレーゾーンらしいけど。

 てか、わざわざ海外で撮影していたのかよ。凄いな、それ。

 というか、それでもアウトな気が。でも、あれか『課金』しなきゃ見れないようになっているとか、いろいろ対策はしているんだろうな。


「そっか。俺とは普通に付き合ってくれればいいよ」

「……でも」

「へえ? 動画のことバラしてもいいのかな~?」

「ご、ごめんなさい。それだけはどうか……」

「じゃあ、続きをしようか」


 今日は初日だ。

 紳士のたしなみである0.01を装着した。これくらいは童貞の俺でも練習済みなのである。風船にして遊んだこともあるしな。


 緊張しながらも俺は種崎さんの楽園エデンへ…………ヴッ!



「…………え。新谷くん、まさかもう……」



 0.3秒の出来事だった。

 俺は一瞬にして果て、種崎さんの楽園エデンで果てた。



「…………すまん。暴発しちまった」

「さすが童貞だね」

「し、仕方ないだろッ! でも今この瞬間に童貞卒業したろ?!」

「う~ん…………」


 うわ、すっげえ不満顔!

 仕方ないだろ!

 早漏で悪かったな!

 ……チクショウ。ガキの頃に床オナしすぎたかな……。


 しかも、第二回戦をヤる気もでなかった。やっべ、ウルトラ賢者モードでなにもやる気が起きない。

 種崎さんがまったく魅力に思えない。

 こんな美少女なのに、今はどうでもいい存在に見えてしまう。

 今すぐゲームしたい気分だ。

 これぞ……ウルトラ賢者モード。恐ろしい!



「解散にしよう」

「え!? もう!?」


「ごめん。でも、またお願い」

「……えぇ。新谷くんって萎えるの早くない? もう回復しないの?」

「無理だ。俺は一撃が限界なんだ。世の中、二回や三回……それ以上戦えるヤツもいるらしいが、俺には無理だ。所詮俺は、さっきまで童貞だった男……」


「まあいいや。分かった。新谷くんが立派な男の子になれるように、サポートしてあげるからね」

「え?」


 着替えながら、種崎さんはそう言った。意外過ぎて驚いた。


「いや~、わたしきっと風俗とかAVとかそういう道にいくと思うからさ。練習相手になってあげる」

「マジかよ。なんでそんな方向に……種崎さんほど美少女なら、もっとモデルとかアイドルとか」


「うーん。気持ちいことして楽に稼げるならAVでいいかな。ほら、わたしって頭良くないし、勉強苦手なんだよね」


 そういう理由かよ。

 最近のAV女優ってかなり美人だとか可愛い系が多いし……。種崎さんの道を否定する意味もないけどね。なにかしらの理由はあるだろうし。

 学生にしてその道を選ぶのは凄いけど。


「学校にはいたいんだな」

「一応卒業しておかないとね」

「そういうことか」


「でもよかったね」

「なにが?」


「童貞卒業おめでとうってこと」

「あー…。俺の方こそ脅すような形で悪かったよ」

「いいのいいの。実は新谷くんのことは気になっていたし」

「え?」


「いろんな意味でね」


 どういう意味だろう?

 とにかく解散となった。

 また種崎さんとヤれる日があるだろう。その時が楽しみだ。

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