公爵家シリーズって『在りし日の』ってつけないの?

「懐かしいはずなのに、どこか違和感があります」

「そうなの?」


俺は、『アエリア』とそんな会話をしながら玄関のドアを後ろ手で閉める。


【拠点が設置されました。拠点メニューを確認してください】


『拠点?!』

『クエスト?』

『チュートリアル?』

『こういう時はヘルプじゃね』


「拠点メニューか、なになに…」


俺は、拠点メニューを開く。

『アエリア』が、一歩下がり俺の傍へとやってきた。

画面を覗き込むことができるようだ。


「家具などの設置がされていないようですね…あら?邸のレイアウトが随分と違うようですね。

見た目よりも広くなっています」


『アエリア』の実家自体がどんな間取りだったのかは分からない。

見た所、この拠点は…。

まず1階には、正面…一応北にしておこうかな。

大きな部屋…たぶん食堂だろうか。

東西にも、それぞれ大きな部屋がある。

キッチンと応接室なんかかな。

2階には、階段を中心として北南に大きな部屋が2部屋ずつ。

東西に、3部屋ずつある。


「1階は、食堂とキッチン。それから、お客様をお迎えする客室と応接室がありました」

「ふむふむ、そうしますと1階はそのまま使ってみましょうか」


俺は、画面を操作する。

ガチャで手に入れた公爵家所縁の品をどんどん設置していく。

まずは、カーペット。

真っ赤な絨毯が、音もなく設置されていく。


「おお、これは」


『アエリア』から、感嘆の声が漏れる。


「まずは、メイドさんを召喚しようかな。

確か3人いたはずだな」


次は、ひとまずメイド・執事を設置しよう。

メイドは、3人。

執事は、2人。

設置すると目の前に、英国風なメイドさんが現れる。

黒を基調としたロングスカートに、真っ白なエプロンをしている。


「『リーザ』…」

「…もしや『アエリア』お嬢様でございますか?」


『アエリア』は、メイドの1人に抱き着いた。

メイドさんは、彼女を優しく抱きしめた。


『おお、感動の再会』

『邸が無くなったときに…』

『うー、おいちゃんの涙腺が』


ふむ、『リーザ』と呼ばれた女性は10代くらいに見える。

寧ろ、『アエリア』と同年代くらいかな。

やがて、彼女はハッと気が付き離れると俺へ視線を向ける。


「ああ、イツキ。

彼女は、私の専属メイドを務めていた『エリザベート』です。

私は、『リーザ』と呼んでいます」


『リーザ』は、『アエリア』に紹介されるとカーテシーをする。


「イツキさま。『アエリア』お嬢様の専属メイドをさせていただいておりました『エリザベート』と申します。

よろしくお願いいたします」

「こちらこそよろしくお願いします。

えっと、イツキと言います」


『おっと、イツキがガチガチに固まっているぞ』


『アエリア』がクスクスっと笑っている。

なんだか、恥ずかしい。


「えっと、『アエリア』。

ちょっと、仕事を頼んでもいいかな?」

「ええ、喜んで。何をしましょうか」

「俺の代わりに、邸の内装をみんなで手分けしてお願いしたいんだ。

アイテムボックスを共有するから」

「わかったわ」


少しだけ、敬語が外れることがあるな。

まあ、その方が気楽でいい。

さて、俺はその間に別のガチャを回そうかな。


--------------

基本的にメイド・執事に名前はありません。

『リーザ』だけが特別。

彼女だけランクが高い。

『アエリア』が☆5。

『リーザ』が☆4

その他のメイド・執事が☆3って感じ。

凸アイテムも☆5と☆4では違います。

次回は、恒常ガチャ。

次からは、職人がいっぱい増えます。

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