チュートリアル?そんなものはスキップだ
『そういえば、このゲームって内政ゲーか』
『確かに、プレイヤーってキャラクターに指示出す奴じゃん』
『イツキが普通にゲーム内にいるからMMOかと思ったわ』
そう、このゲームはMMORPGではない。
ストラテージ…シミュレーションゲームだったりする。
多分その所為で、俺は武器や道具を使えない。
飲食できるのはよくわからんが出来なきゃ死んでしまう…よね?
『あれ?チュートリアルは?』
『ガチャしてるんだからしてあるんじゃね』
「あー、チュートリアルはスキップしました。
めんどくさいじゃん。
それに、『アエリア』引きかったし」
前を歩く『アエリア』が、首を傾げている。
まあ、意味が分からないのはわかる。
ゲームのシステムだからなぁ。
『わかる、私も飛ばす派』
『僕は、飛ばさない派』
コメ欄では、そのまま論争が巻き起こった。
「イツキ、この辺りはどうだろうか」
『アエリア』が立ち止まる。
砂浜からやってきた防風林。
その先には、開けた広場のような場所があった。
確かに、ここならよさそうな気がする。
「大きさは、大丈夫だろうか?」
「本邸…庭園がなければ…ちょうどだったと思います」
俺は、アイテムボックスから公爵家本邸を出そうとする。
すると、設置カーソルなものが現れた。
半透明な建物の陰が見える。
建物は、薄い水色に見えた。
少し、左右に動かすと薄い水色から薄い赤色へ変わる。
「ふむ、水色ならいいみたいだな」
俺は、本邸を設置する。
ドンっと音がしたかと思うと、目の前には真っ白な外壁の大きな洋館が立っていた。
3階建ての横長な建物だ。
「これは、確かに私の実家にそっくりです」
見上げる『アエリア』。
どこか、寂しそうな表情を浮かべている。
その真意は、わからない。
「中に入ってみましょう」
『アエリア』は、大きな扉のドアノブに触れ、扉を開けた。
「懐かしい」
彼女は、そう呟いた。
俺も声が出なかったが、コメ欄も静かになっていた。
なぜなら、『アエリア』の頬を涙が伝ったからだ
「ああ、済まない。
私の実家のこの邸は、私が学園に通っていた時に全焼してしまってな。
父上も母上も…使用人たちも…多くを失ったのだ」
彼女が、寂しそうな顔をした理由が分かった。
失われたものが目の前にあるのなら、それは確かに寂しく思うだろう。
「『アエリア』。実は…」
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次回、『アエリア』ガチャの排出品の確認になります。
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