五十 恵比須のお母上
元日ともなれば、いろんな縁起物を売り買いする人々が、夜更けのうちから街にぞろぞろ現れる。
特に
売り子はお札を持って「
さて、ここにも一人、
年が明けたばかりの深夜、札売りは色々な神々の絵札を持ち、売りに出かけた。
ところが、
その版画が他の神々同様に祭りで売られることはあったらしいが、もちろん、めでたい元日にふさわしい札とは言いがたい。
しかしなにしろ夜中のことだ。暗くてよく見えず、売る方も買う方も札を間違えていることに気づかない。
明け方になって、やっと一人の客が間違いに気づいた。
「あれっ? こりゃまた変なババアだなァ」
指摘され、手元をよく見てみれば、なんと
しまった、まちがえた、どうしよう。
札売りは冷や汗たらして焦る。
ここで間違いを認めてしまえば、商機を逃すうえに返金騒ぎにもなりかねない。そんなことになったら大損だ。
札売りは平気な顔を装い、やけくそ気味に声をはりあげた。
「これは
すると客は大笑い。
「もっともだ、もっともだ!
と喜んで、
これにて
おしまい、おしまい。めでたし、めでたし!
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