丗六 宗祇修行
和歌の形のひとつに、
大勢が集まって、その中の一人がまず五七五の句を
別の者が、そこへ七七の句をつける。
するとまた別の者が五七五をつけ、以降、七七、五七五、七七、五七五……と、次々に句を繋いで、みんなで長い歌を作るのである。
最初の句を
と、説明するのは簡単だが、実際に挑戦してみると、これがかなり難しい。
単に音数が合えばいいというものではない。
中世から近世にかけて、知識人たちの間で
*
さて、この
そうそうたる歌人に師事して腕を磨いた
その修行の旅の途中でのことだった。
その中の一人が、唐突に言う。
『一つあるもの 三つに見えけり』
今のは
そうと悟った
「
見事な
すると、すかさず二人目が言う。
『二つあるもの 四つに見えけり』
また
「月と日と 入り江の水に 影さして」
これまた見事。天の月日が水面に映れば、合わせて四つというわけだ。
最後の一人がまた言う。
『五つあるもの 一つ見えけり』
『月に指す その指ばかり
五本指。しかし月光を浴びて浮かび上がるのは、月を指す指一つのみ。
この三句を聞いたとたん、三人組は満足げに微笑みながら、すうっ……と何処へともなく消えてしまったのだという。
果たしてこの三人は何者だったのだろう。
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