丗四 君が代



 長岡藤孝ふじたかは号を幽斎といい、信長、秀吉、家康に仕えた勇猛な武人でありながら、他方では一流の歌人でもある、という文武両道の人だった。


 あるとき、太閤秀吉と幽斎が歓談していると、茶菓子として、豆に青苔あおごけ青海苔あおのり)をまぶしたものが出された。


 太閤がいたずら心で、

「幽斎、この豆を題にして歌をんでみよ。

 さあ、どうむ? どうむ?」

 と、もちかけた。

 これに対する幽斎の答えは……



 君が代は 千代に八千代を

 さざれ石のいわおとなりて

 こけのむす豆

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