丗三 貧乏神の居場所



 天龍寺の開山(初代住職)であった夢窓むそう国師は、並はずれて裕福な僧であったそうだ。


 しかし、体つきはいかにも肩が薄く、しぼんでいる。


 ある人が、夢窓むそう国師に拝謁したとき、こう申し上げた。

「世間では『貧乏人はみんな肩が薄いし、力のない者は肩がしぼむのだ』と申します。

 夢窓むそう国師はお肩がたいへんに薄くしぼんでいるのに、なぜそんなに福運を持っていらっしゃるのですか?」


 夢窓むそう国師は、こうおっしゃった。

「それはね、私の肩があんまりにも薄くしぼんでいるので、貧乏神の居場所がないからだよ」

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