廿一 ~ 丗
廿一 癖は直らぬ
彼には妙な癖があった。
貴人が差している刀や脇差、
とにかく天然生まれつきに、そういうのが好きなのである。
そのふるまいがあんまり浅ましいので、彼がいつも
「そちに大切なことを教えたい。まあ聞くがよい」
「お聞きします」
「今後、物の値段を言いあてるのはやめなさい」
禅門は、手を合わせて拝み、拝み、
「なんとありがたいお心でしょう! ただいまのお言葉、銭百貫に値しようかと思います!」
……癖は直らぬ。
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