廿 オセンソク
山の中に殿様が住んでいた。
お国のちゃんとした武家から嫁を迎えたところ、お
しかし、それから二、三日後。
というのも、
田舎者の武士たちには、体を洗うという習慣がないのだろうか……
不潔さに我慢できなくなって、
「
「かしこまり
と、
「皆さま、お集まりくだされ。
「なにごとだ、なにごとだ」
「いや、別に大したことではないのだが。『オセンソク』という物を出せというのです。どうお返事したらよいであろう?」
はて、『オセンソク』とは一体なんであろう?
国の重鎮たちが寄ってたかって談合し、さまざまに意見を言いあったあげく、一番年上の老臣がこう述べた。
「『戦乱で
年寄衆はどよめいた。
「それだ!」
「これこそ天下一の思案じゃ!」
「ではさっそく」
「『オセンソク』を出せとの
「ああ、
『
「いや、『キョウコツ』も『オセンソク』と一緒に
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